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【 ボンクラの勝利 再び 】 [雑学]

【 ボンクラの勝利 再び 】

 

いささか旧聞ですが、日本将棋連盟の会長である米長永世棋聖が、再びコンピューターソフト「ボンクラーズ」と対戦して敗北したそうです。 前回の手合わせは前哨戦だったとのこと・・。

 

このあとも、現役のプロの棋士とコンピューターの対戦は続くようですが、巷の興味は「人間とコンピューターのどちらが強いか」から別の事に移りつつあるようです。

 

以下はネット情報からの受け売りです。

コンピューターソフトの棋力はここ数年、めざましい勢いで向上してきましたが、直近は伸び悩んでいるそうです。もっとも、既にプロの高段棋士と同じレベルに達しているので、もはや棋力を定量的に測る適切な方法がありません。 将棋倶楽部24のレーティングがR3000以上はプロの世界だからです。

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今を遡ること十数年前に、チェスの世界ではコンピューターに人間が勝てなくなりましたが、そのコンピューターチェスの思考ルーチンを参考にして、将棋ソフトボナンザができました。これによって初めてプロの棋士と対等に対局できる将棋ソフトが完成し、その延長上にボンクラーズがあります。 ボナンザは将棋ソフトの一つのエポックメーキングでした。

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ボナンザの特徴は2点です。

1. すべての候補となる手をシラミ潰しに調べる全幅検索と、有力な候補の手を特に深く調べる選択検索の両方を併用する仕組みであること。

2. 局面の良し悪しや駒の価値を決める評価関数を、プログラムを作る人間がするのではなく、コンピューター自身が作る仕組みであること。

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将棋の指し手には、天文学的な組み合わせがありますが、その大半は意味が無いものです。それらをシラミ潰しによんだところで、徒労に終わります。将棋の強い人とは、無意味な手を削ぎ落して、有力な手順のみを残して深く読む人です。つまり全幅検索をせず選択検索を行う人です。

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だから、普通の将棋ソフトも選択検索を行います。 プログラム作成者は、大抵自分も将棋を指しますから、選択検索のロジックの改善につとめ、全幅検索など検討対象としません。

しかし、ボナンザの開発者は、全く畑違いの化学者で、将棋の棋力も弱く(自称アマ11級とか)、選択検索にこだわらなかったそうです。 そこで、全幅検索と選択検索を組み合わせ、しかも評価関数も恣意的に決めるのではなく、コンピューター自身にまかせるという、「コンピューターまかせ」のプログラムにしました。

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参考にしたチェスのプログラムは、持ち駒を打ちませんから、将棋よりはるかに候補手の数が少なく、かつ手数が進むほど場合分けが減っていきますから、全幅検索が使えます。それをボナンザはヒントにしたのです。

ハードウェアの性能が貧弱な時代なら、その手法は通用しませんでしたが、近年のパソコンの性能はめざましく、ボナンザの能力を発揮する事ができました。

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その延長上にあるボンクラーズの場合も、強さの秘訣はそこにありそうです。

近年、コンピューターソフトの強さが伸び悩んでいるのは、人間の最高レベルに棋力が近づいた事もありますが、ボナンザを超える革命的なアルゴリズムが登場しない事も理由の一つと思われます。

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またコンピューター将棋は、ハードウェアの向上でさらに強くなりますが、こちらはブレークスルーというわけにはいきません。 もちろんコンピューターはどんどん高性能化しますが、機械が変わってケタ違いに将棋が強くなるというわけでもなさそうです。

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コンピューター将棋の世界は、ハードよりもソフトがものを言う世界のようです。

ボンクラーズはブレードサーバー6台を連結した条件下で、1秒間に1800万手先を読むそうですが、その数字自体にあまり意味はなさそうです。

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20120116/1040348/

例えば、円周率の計算では、どれだけ速く、かつどれだけ多く計算できるかの勝負ですが、将棋やチェスはそう簡単ではありません。どれだけ早く正解に近づくかという問題で、さまざまなアルゴリズムが考えられます。

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将来、将棋でも、コンピューターの方が人間より強いという時代が来たら、より強いソフトを開発するという意欲は低下し、コンピューター将棋が強くなる速度は低下するでしょう。 人間の存在できない世界で機械どうしで競っても仕方ないからです。

かつて、コンピューターチェスの世界がそうでした。

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では、それからどうなるか?ですが、将棋の完全解析が何時できるかに興味が移ると思われます。 完全解析とは、必勝手順を発見、証明することです。 でも、これには時間がかかるでしょう。チェスでも実現していません。

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大昔ですが、慶応大学の数理工学科の中西先生は、雑談の中で語っておられます。

「多分、将棋というゲームは先手必勝でしょう。 でもその証明は大変です。 ごく一部の可能性として後手必勝の可能性も考えられます。 これは、将棋を始める前の駒の配置が完全であり、先手が仕方なしに初手で駒を動かす事でスキが生じ、そこを後手が攻めれば必ず勝てるという可能性ですが、それは非常に小さい。

勿論、それ以外に千日手とか、持将棋(双方入玉した時点で、所定の駒数を持っている場合に成立)という可能性もありますが、それも小さい。

だから、多分、先手必勝なのですが、証明には膨大な手間がかかるのです」

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実際、江戸時代以来、天才とも言えるプロの将棋指しが膨大な棋譜を残していますが、それで先手必勝の証明に近づいたとは思えません。 もし完全解析(つまり先手必勝の証明)に近づくなら、先手の勝率が高くなるはずですが、そういう傾向もありません。統計を取ると、先手の勝率がわずかに高いのですが、大きな差ではありません。

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むしろ「ゴキゲン中飛車」のような、有力な後手定跡が登場すると、後手の勝率が高くなったりします。完全解析への道は遠いのです。

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かつて朝日新聞のアマ名人だった、小林純夫博士は住友金属の社内誌の中で、将棋の手順の場合分けが天文学的な数にのぼることを示して、いかにコンピューターが発達しても、完全解析は無理である・・との持論を展開しました。

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でも完全解析は本当に夢物語なのでしょうか? 天文学的な場合分けの全てのケースについて、コンピューターでシラミ潰しに確認する事は不可能なのでしょうか?

私はそうは思いません。 そう考える根拠となる出来事が1970年代にアメリカであったからです。

 

以下、次号


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