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【 窮理の船 (今回は私事です) 】 [雑学]

【 窮理の船  (今回は私事です) 】

 

申し遅れましたが、私は10月中旬から福井県の北部にある鋼管工場に勤務しております。62才になってなお、「うちで仕事をしないか」との声がかかったのがありがたく、東京の勤務先には不義理をして、福井県に赴いた訳ですが、入ってみれば、いやその忙しいこと、1月に1回、鹿嶋の自宅に帰るという予定は、ままならないかも知れません。

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その中で、11月下旬の勤労感謝の日の3連休には、鹿嶋に帰ることを決めていました。東京でお会いしたい人もたくさんいますし、それに1123日は、愚息2号(つまり次男)の誕生日です。その次男は、今年、南極観測に出かけることになり、1125日に成田から出発するのです。実は南極観測船「しらせ」は既に日本を出発していますが、観測隊員は飛行機で後から出発し、オーストラリアのフリーマントルで乗船する予定なのです。

https://www.asahi.com/articles/ASLC87X66LC8UTIL078.html?iref=comtop_list_nat_n04

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そして成田から出発する次男を見送るために、私と家内、それに北海道の研究所にいる愚息1号も集まることになったのです。南極に行くのは、次男一人ですが、その少し前から、私も家内も南極と南極観測船「しらせ」に興味を持ち、ファンになりました。極地研究所の一般公開があれば出かけて見学し、「しらせ」の見学会があれば、横須賀まで出かけて乗船し、だんだんわくわくしてきました(自分が行く訳でもないのに)。そしてちょっと嬉しくなって親戚にも報告しました。

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早速、横須賀に暮らす家内の叔父からは、東京湾に浮かぶ美しい「しらせ」の写真が送られてきました。観音崎の先、走水を通過し、南極へ向かう「しらせ」の写真です。

 

shirase2.jpgshirase4.jpg

 

 

写真の中には、陸上から旗旒信号を振る男性の後ろ姿の写真もあります。(残念ながら肖像権の確認が取れていないので、その写真は掲載できません)。

UW.png

その旗旒信号は、「御安航ヲ祈ル」という、UW旗です。一昨年の弊ブログにも登場しました。お忘れの方は下記のURLをご覧ください。

https://halibut.blog.so-net.ne.jp/2016-12-04

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「海上自衛隊には、一隻だけ 明るい色で塗装した船があるのですよ。分かりますか?」と話すのは、海上自衛隊の幹部だったNさんです。「それは南極観測船「しらせ」です」。 何度も「しらせ」に乗船(乗艦?)したNさんによれば、海上自衛隊のほとんどの水上艦は、暗いグレーに塗られているそうです。そして潜水艦は黒色です。(これは喫水線より上の部分です)。

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軍艦は戦闘の際、敵に視認されない方がいい訳で、保護色を使うのです(ローヴィジと言うそうです)が、戦闘艦でなければ、その必要はありません。むしろ発見されやすい方がいい訳で、「しらせは」は甲板より下は明るい柿色、甲板より上はクリーム色です。

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初代の南極観測船「宗谷」は海上保安庁に属していたのであてはまりませんが、海上自衛隊に所属した「ふじ」「しらせ(初代)」も今の「しらせ」と同じ色です。

 

shirase1s.jpg

これは、初代の「しらせ」です。

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「しらせ」の甲板に立つ自衛隊員に尋ねると、「しらせ」の乗組員は、全員が志願者で、選ばれて乗船するのだそうです。なぜ志願者が多くいるのか?

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南極という場所に行ってみたいという好奇心もあるでしょうし、もっぱら戦闘訓練に明け暮れる通常の艦隊勤務と異なり、平和な船に乗ってみたいという思いもあるでしょう。でもひょっとしたら、暗い色の船ではなくカラフルな船に乗ってみたいというそんな気持ちもあるのかも知れません。

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ところで1110日に出港した「しらせ」ですが、軍人より科学者や研究者を多く載せたこの船をなんと呼ぶべきか? 私は50年前に教わった「窮理の船」という言葉を思いつきました。私が中学生のころ、音楽の授業で、針谷茂先生がなぜか讃美歌を教えてくださいました。「月なき美空に・・」で始まる讃美歌312番ですが、その中に「窮理の船」という歌詞が登場します。

http://www.worldfolksong.com/hymn/friend-jesus.html

同級生の誰かが、「「窮理の船」とは何ですか?」と質問すると、針谷先生は、少し考えて「今、飛んでいるアレだよ。真理を探究するために進んでいる宇宙船も一つの窮理の船さ」と答えられました。ちょうどその頃、アポロ宇宙船が月面に着陸していたのです。

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本当は、窮理とは哲学的真理を探究することで、自然科学に使っていいのか?という疑問はありますが、なぜかその時は納得した記憶があります。

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すると、今ならさしずめ、南極観測船「しらせ」こそが「窮理の船」だな・・と、50年後の現代の私は思いました。

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窮理の船に心躍らせて乗る次男は、修士課程の1年生です。南極で何を学び、何を経験してくるのか、門外漢の私には分かりませんが、彼もまた人生の船出の時期を迎えます。 南極から帰り、修士課程を修了した後、彼がどの道を選び、どういう人生を送るかは分かりません。 ただ、自分で道を切り開き、困難を克服して自己実現してほしいと祈るばかりです。 次男だけでなく、若い学生や研究者の卵たちは、「しらせ」に乗ろうが乗るまいが、皆さん「窮理の船」の乗組員です。 私はただ「御安航ヲ祈ル」という旗を振るばかりです。

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海原に、白き航跡現れて 南を目指す 窮理の船は

 

天際に緋色の船を見送れり Von Voyageの旗を振りつつ

 

うーむ 駄作です。私には短歌はやっぱり無理みたいです。


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【 ノーベル賞枯渇論に駁す 】 [雑学]

【 ノーベル賞枯渇論に駁す 】

 

元の東北大学総長でミスター半導体とも呼ばれた西澤潤一博士が他界されました。オヒョウには電気工学や電子工学は専門外なので迂闊なことは言えませんが、西澤博士が考案したとされる光ファイバーの理屈はとても面白いと思った記憶があります。

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そして一時期、西澤博士は、日本人研究者ではノーベル賞に最も近い位置にいたとされます。

残念ながら、その機会はなく、東北大学でははるか後輩の田中耕一さんが化学賞を受賞するのを祝福し、今年は京都大学の本庶佑教授の生物医学賞受賞を見届ける形で亡くなった訳で、本人の胸中はどうだったかな?と、ふとそんな事を考えます。

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最近のノーベル賞は、下馬評を報道するマスコミのせいか、門外漢でも名前は聞いたことがある有名な先生が受賞することが多いようです。iPS細胞の山中伸弥教授やニボルマブ(オプジーボ)の本庶佑教授、青色発光ダイオードの中村修二氏などは、早くからノーベル賞候補として噂されていました。ソフトレーザーによる質量分析技術で受賞した田中耕一さんのようなダークホースは稀です。

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そして、今年の本庶教授の受賞にあたっても登場しましたが、毎年報道されるのは「日本のノーベル賞枯渇論」です。

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即ち、「最近の70代の受賞者は30代、40代の頃の研究が評価されて受賞するので、30年の時間差がある。30年前は、優秀な科学者がたくさんいたし、文科省の予算も潤沢で先進的な研究ができた。しかし今は駄目さ。子供達の理科系離れやゆとり教育で、理工系の学部の人気も質も大幅に低下した。科学者の数も質も低下した。文科省の科研費も削減される一方で、増え続けるのは博士の数ばかり。彼らはパーマネントポストを獲得するのにきゅうきゅうとして、ノーベル賞に値するような大研究をする余裕も能力も無い。だから、今がピークで、将来は日本からはノーベル賞は出ないね・・・」という悲観論です。

「昔は良かった。それに引き換え今は・・」というのはいわゆる下降史観です。

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それに続いて「だから文科省は基礎研究予算をもっと手厚くするべきだ」と続く場合もあります。

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日本の自然科学研究が沈滞傾向にあり、ダメになっていくのか?というと、私にはよく分かりません。しかし、斜に構えた下降史観にすなおに与することはできません。そもそも、自然科学全般(特に、ノーベル賞の対象となる物理、化学、医学、生物学)で、最先端の研究がどのように行われているのか、あるいはその中で、日本人研究者の存在感はどうなのか、といったことを、全て理解している学者や評論家はいないはずです。それにも関わらず、ノーベル賞級の研究が減った・・などと言うのは倨傲にすぎます。

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実は、「ノーベル賞枯渇論」は今に始まった話ではありません。私の記憶では、1981年に福井謙一博士がフロンティア電子理論で化学賞を受賞した頃からです。当時、日本にノーベル賞受賞者はまだ少なく、物理学賞が主でした。

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その時からノーベル賞枯渇論は存在したのですが、その主張とは、以下の通りです。

「かつての理論物理学では湯川秀樹博士や朝永振一郎博士のように、紙と鉛筆さえあれば研究できた。だから敗戦後の貧乏国だった日本でも世界に通用する研究ができ、ノーベル賞も受賞できた。しかし今はダメさ。大掛かりで高価な実験装置を駆使し、国家プロジェクトで研究を進める時代では、日本の研究者は太刀打ちできない。それに全共闘世代以降は、日本の研究者のレガシーも破壊され、日本の自然科学研究はもう終わりだね。福井先生が最後さ」

たしか、こんな意見を朝日新聞で読んだ記憶があります。

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しかし、実際はどうかといえば、全く違います。

福井謙一先生が受賞されたころには、山中伸弥教授は大学一年生ですし、田中耕一さんも大学生でした。福井先生の後に研究を開始した人達も、立派にノーベル賞学者になっています。日本人受賞者は増える一方です。当時の「ノーベル賞枯渇論」は的外れでした。

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理科系のノーベル賞について、全てを把握した訳ではありませんが、共通するのは、一種の偏執狂のように一つのことに拘る天才科学者が人生を掛けて成し遂げた研究だということです。そして紙と鉛筆だけで・・・というのは、半分は正しいのですが、半分は誤りです。物理学では理論と実験は表裏一体だと聞いています。

湯川秀樹博士が中間子の理論でノーベル賞を受賞したのと前後して、米国のアンダーソン博士と英国のセシル・パウエル博士が受賞しています。

湯川博士は中間子の存在を予測しましたが、アンダーソン博士とネダマイヤー博士は宇宙線の中から中間子を発見し、セシル・パウエル博士は、原子核の崩壊を観察して中間子を発見したのです。それら三位一体での受賞であり、やはり大掛かりな実験は必要でした。もっとも、湯川博士が予言した中間子と発見された中間子は別物だったのですが・・。

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最先端の高エネルギー物理学では、巨大で高価な実験設備が必要なのは事実ですが、そればかりではありません。小柴昌俊教授や梶田隆章教授らのカミオカンデやスーパーカミオカンデは、巨額な費用を要する加速器が望めない中で、巨大な水槽を利用してニュートリノを捕まえようとしたもので、設備は巨大ですが、大型加速器と比べて、それほど巨額とも言えません。

むしろ、高エネルギー加速器研究機構のTRISTANKEKBのプロジェクトでのノーベル賞受賞者が小林誠教授だけ・・というのは少し寂しいところです。

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物理の世界は、今でも、湯川秀樹、朝永振一郎、南部陽一郎、益川敏英といった紙と鉛筆で研究する人と。小柴昌俊、戸塚洋二、梶田隆章のように、実験で研究する人が車の両輪のように存在し、ノーベル賞は両方に授与されています。

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冒頭で西沢潤一教授の例を挙げましたが、ノーベル賞は、その背後に母集団とも言うべき沢山のノーベル賞級の研究があり、その中で特に優れたもの、あるいは特に幸運だったものが受賞の名誉を受けます。日本の場合、門外漢のオヒョウが知るだけでノーベル賞級の研究は日本に沢山あり、その母集団がなくならない限り、日本からの受賞者が途絶えることはないと思います。

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いずれにしても、日本のノーベル賞枯渇論は根拠が薄弱であり、心配の必要はないと思います。

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話は変わりますが、自分が研究者でなくても、ノーベル賞受賞の話は嬉しいものです。同じ郷里の出身者だったり、母校が同じだったりすれば、とても誇らしく思えたりします。しかし、日本人の受賞者を数えて外国と比較したり、日本の科学技術のレベルを評価するのに、受賞の数を議論するのはナンセンスでしょう。

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科学技術のグローバル化は進んでおり、日本一国だけの研究と言えない場合が多いからです。実は例外はあるものの、自然科学の分野でノーベル賞を受賞した日本人研究者の多くはなんらかの形で、英語圏で研究し、評価されています。国籍が既に日本人でない人もいます。日本の・・・、或いは日本人の・・とこだわる必要はあまりないのです。

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これからはむしろ日本で研究した外国人留学生や研究者の受賞を喜ぶべき時代かも知れません。例えば、つくばの高エネルギー加速器研究機構に留学した英国人研究者が受賞したとか、京都大学で研究した中国人留学生がノーベル賞を受賞した・・ということを喜ぶべきかも知れません。しかし、実際には、そんな例はまだ無いのです。

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ところで、西澤潤一教授には、西澤泰二教授という弟がおられ、東北大学の金属学の先生でした。合金の状態図を理論的に説明する研究の第一人者です。かなり強い東北弁訛りの話し方が特徴で、西澤潤一教授とは、少しイメージが違います。

兄弟なのに、どうして違うのか? 少し気になるのですが、兄弟のタイプの違いを研究してもノーベル賞にはならないでしょうね。

 

イグノーベル賞にはなるかも知れませんが。


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【 毒薬 その2 】 [中国]

【 毒薬 その2 】

 

私が子供の頃、産業がなりたつための、3要件というものを学びました。すなわち、土地(工場建設用地)、金(設備投資)、人(工場で働く人)の3つが揃わなければ、起業はできないという考えです。土地が要件となるのは、国土が狭く平地が少ない日本固有の事情です。

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広い土地があり、潤沢な労働力がある中国では、資金さえあれば、第二次産業はすぐにでも発展し、世界の工場になれるのに・・・という時代が、文化大革命以降、しばらくつづきました。その後、改革開放経済のもと、一定の資金力ができると、中国の製造業は爆発的に成長し、実際に世界の工場になりました。

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しかし、そこに新たな問題がでてきました。経済の成長に必要なのは、お金と人だけでなく、技術革新や新技術も必須だ・・・という意見です。たとえ成熟した市場でも、世界が様変わりするような、あるいはゲームチェンジするような革新的技術が登場すれば、その産業は成長する。一方、低い労働コストだけが売り物で、安価に大量生産するだけの産業は、いずれ行き詰まる・・という理論です。

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今年、ノーベル経済学賞を受賞したニューヨーク大学のポール・ローマー教授が、技術水準を高めるための努力が重要で、経済発展には技術水準の向上が不可欠と説明しています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36247190Z01C18A0I00000/?nf=1

少子高齢化の中で、市場も成熟し、もう昔のような高度成長が望めない・・と諦めたくなる日本経済を鼓舞するような言葉です。 イノベーション(発明や新製品開発)は日本の得意とする分野だったからです。

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一方、中国では逆にイノベーションは苦手で、海外で開発された製品をOEMで製造するか、劣化コピーを作るのが主流でした。しかしその中国も人件費の高騰で価格競争力は失われつつあります。 多くの先進国から知的財産権の侵害を指摘・非難され、世界の工場である中国の重商主義も行き詰まりが見えてきました。ローマー教授の唱える技術水準の向上が不可欠なことは、誰の目にも明らかです。とりわけ、習近平は、中国経済が更に発展するには、自前の技術開発が必要だと痛感しているはずです。

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そんな中、習近平国家主席が東北地方3省(遼寧、吉林、黒竜江)を視察した・・というのは、何か意味がありそうです。東北地方3省は、早くから工業化が進み、文化大革命当時は最大の工業地帯だったところです。北方は工業化が進み、南部は農業主体・・というのは実はかつての米国と似ていますし、イタリアの経済構造とも似ています。

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実は、中国の東北地方で第二次産業(工業)が発展したのは、日本の影響もあります、鞍山の鉄鉱石、撫順の良質な石炭を持つ遼寧省は、鉄鋼産業に適しています。日本は東北地方を満州国にした後、積極的に鉱工業に投資しました。戦後、日本は去りましたが、その産業インフラは残り、文化大革命の時代、東北3省は唯一の工業地帯とも言えました。典型的なのは、長春の自動車産業などです。

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しかし、当時の産業インフラは既に全く老朽化しています。その生産設備の改善には、共産主義国だったソ連の指導を受けていますが、彼らは資本主義諸国ほど効率を重視せず、生産する製品も、あまり魅力的ではなかったのです。

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現在、自由経済を取り込み、成長発展を遂げつつある中国で、東北3省の工業は時代遅れであり、お荷物なのは事実です。最新の生産技術を導入し、ハイテク分野にも注力している華中、華南の産業地域に比べ、東北3省は遅れています。単に設備が老朽化したということではなく、産業自体が低付加価値で重厚長大で時代遅れなのです。

https://www.oricon.co.jp/article/573921/

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米国では五大湖南岸の「錆のベルト」という地帯がそれに該当しますが、ちょうどこれは、トランプ大統領の支持基盤と重なります(どうでもよいことですが)

経済成長の鈍化を憂慮する習近平としては、東北3省の産業構造を切り替え、より近代的で付加価値が高く、環境負荷が低い産業にシフトさせたいところです。しかし、ローテクからハイテク、重厚長大から軽薄短小に切り替えるには、多くの知的財産が必要です。外国から気軽に先端技術を教えてもらえた日々は遠く、産業スパイを活用してノウハウを入手できる日々も過去になりつつあります。

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今回、米国が西側諸国にばらまいた毒薬(poison pill)は、外国の科学技術を利用して荒稼ぎする中国に対する最後通牒かも知れません。今後の行方しだいでは、東北3省のリノベーションにも影響を与えます。だから、特に中国にとっては深刻な問題です。

中国の指導部は、「効率が悪くても、もはや、自前で技術開発をしなければならない」と理解しているはずです。

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実際、中国の科学技術分野での存在感は、年々大きくなっていきます。最近、私は金属凝固の数値解析の権威であるE博士とお話する機会があったのですが、E博士が語るには「雑誌に載る中国人研究者の論文の質と量は、ここ数年著しくアップしており、鉄鋼や金属の学会での中国の存在感は増すばかりだ。それに引き換え、日本の研究は質・量とも低下しており、日本の存在感は減る一方だ」とのこと。鉄鋼の生産量ではとっくに主導権を握っている中国ですが、金属工学の技術でも、中国が主導権を握る時期が近づいています。

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繰り返しになりますが、教育を受けた多くの人が都会で生活する中国の科学技術開発力を決して侮っては行けません。

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「彼らには模倣しかできない」「中国人の民度の低さでは、自前の技術は持てない」という根拠のない妄言を信じるべきではありません。米国が各国にばら撒く毒薬のお陰で、中国は覚醒しつつあります。

一方、日本は米国の毒薬に気づかず、ライバルとして急速に台頭する中国の存在にも気づいていません。気づいたら、自由貿易は消えてなくなり、世界はブロック経済に移行し、日本の各産業のヘゲモニーが中国に握られていた  というのでは困ります。

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本当に怖い毒とは、それが毒だとは気づかない毒なのです。


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【 毒薬 その1 】  [アメリカ]

【 毒薬 その1 】 今回はロイター通信の記事について考察します。

 

今は昔、バブルが弾けて間もない頃、円が安くなり、日本企業は海外からの買収・乗っ取りに怯える日々を送りました。新日鉄や住金(当時)の経営陣は、日本国内での競争や需要家との交渉以前に、アルセロールミッタルからの買収(M&A)に備えることばかり考えていました。

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対策には、いろいろな方法があり、敵対的な株の買収に対してはWhite Knight(白馬の騎士)に助けてもらうとか、買収した側が後で「こんなはずではなかった」と臍(ほぞ)を噛むPoison Pill(毒の錠剤・・・日本人だったら独饅頭の方がピンとくる)といった対策が検討されました。結局、NKKと川鉄、新日鉄と住金の合併で海外勢に対処した訳ですが、どうでもいいけれど、株屋というのは、センスの無い名前をつけるなぁ・・と少し嗤った記憶があります。

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後で「こんなはずじゃなかった」と思わせるPoison Pillとは、既存の株主に、相場より安い価格で大量に株式を売りさばく方法です。乗っ取った側は、株価は下がるし、発行株式の増加で価値は希薄化するし、過半数が取れなければ経営の主導権を取れず・・・となり、乗っ取りは失敗となります。シイタケだと思って食べたら、ツキヨタケだった・・・という訳です。(脱線しますが、私が武田泰淳の「ひかりごけ」を読んだ時は、これはツキヨタケのことかと思ったのですが、ひかりごけは「ヒカリゴケ」であり、全く違いました)。

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その懐かしい名前であるpoison pillが、米商務省のRoss長官の声明に登場しました。

https://jp.reuters.com/article/trade-nafta-china-idJPKCN1MD053

https://www.reuters.com/article/us-usa-trade-ross-exclusive/exclusive-u-s-commerces-ross-eyes-anti-china-poison-pill-for-new-trade-deals-idUSKCN1MF2HJ

これは、M&Aとは全く無関係で、中国包囲網を築くための措置です。即ち、NAFTAの同盟国であるカナダとメキシコに対し、「人権抑圧、不公正な貿易や知的財産権の侵害を行う中国と、個別の貿易協定を結んだら、米国が罰則を科すぞ(NAFTAのちゃぶ台をひっくり返すぞ)」と脅す内容です。

「うっかり、中国と貿易協定を結んだ後に、米国とのNAFTAの条約が障害になることに気づき、慌ててももう遅いよ。君は毒薬を飲んだのだよ」とRoss長官が笑う訳です。

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TPPを拒否し、2か国間協定(FTA)に拘る米国が、中国との2か国間協定を妨害するとはまさに矛盾です。昔、小学校の教室で、ガキ大将が自分に従わない児童を村八分にするために、子分の児童達に脅しをかけたのと似ています。さらに、米政府はこれをEUにも申し入れる見込みです。

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米国単独の経済制裁では限界があると考え、新しいABCD包囲網を築こうという考えです。実際のところ、米中の貿易戦争は、中国に勝ち目はないとされています。米国は輸入額が大きいだけに、まだ課税を追加する余地がありますが、中国にはもうありません。しかし中国はプライドの国です。打つ手が無くなったからと言って、米国に頭を下げる可能性はありません。貿易戦争は泥沼化します。

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以上のように説明すると、中国が善玉で米国が悪玉のようですが、事情はやや複雑です。中国が知的財産権を軽視し、他国の顰蹙をかっているのは事実だからです。

典型的な例として日本の新幹線があります。新幹線を導入する条件として、JR東日本は中国への技術移転を求められ、中国国内の使用に限って知的財産を提供した結果、中国は海外でその技術の売り込みを図り、日本のライバルになっています。

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中国側はいろいろ抗弁しますが、基本的に彼らが知的財産権を尊重していないのは事実です。米国や日本、ドイツの技術を盗んで、それを世界中で売りまくるとなると、複数国間で連携して、中国の暴挙を抑え込む必要があります。それには、この毒薬は案外有効かも知れません。

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それはともかく、中国包囲網が北米だけでなく、EUにも及ぶとなると、さすがの中国も孤立し、貿易は大幅に減る可能性があります。米中貿易戦争の勃発で、他の国も一斉にブロック経済に進み、自由貿易化の流れは逆行するでしょう。その場合、日本だけが無傷でいることは現実的ではありません。

https://www.reuters.com/article/us-usa-trade-ross-autos-exclusive-idUSKCN1MF2IE

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日本は、洞ヶ峠を決め込んで、自分から動く様子はありませんが、中国は積極的に打開策を練っています。それについては次号で。


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【 重ねて思う、世襲・門閥主義の弊害 その2 】 [政治]

【 重ねて思う、世襲・門閥主義の弊害 その2 】

 

残念ながら、現代の日本社会は、世襲と門閥のオンパレードです。近年、人手不足で売り手市場だから目立ちませんが、一度就職難の時期を迎えれば、コネの有り無しが大きく影響します。社会をリードする地位を争うとなると、もっとひどい状況です。

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嘘だと思うなら、今の政治家を見てください。2世、3世ばかりです。安倍晋三は、岸信介の孫、あるいは安倍晋太郎の息子でなければ、首相はおろか政治家にすらなれなかったはずです。石破茂も2世の政治家、麻生副総理は吉田茂の孫、鳩山由紀夫にいたっては4代目の政治家です。世襲政治を批判した菅直人はこっそり息子の源太郎を政治家にしようとして、失敗しました。

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芸能人も2世、3世ばかりです。明らかに親と比べて見劣りする芸能人が、脚光を浴びるのを見ると、視聴者のTV離れが進むのも道理です。

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病院経営者はどうでしょうか? 医者の世界は最も世襲制のひどい世界です。開業医の子息のために私立医大を設立し、不公平な入学試験をしてでも、開業医の息子を医師にするシステムが出来上がっています。昭和の時代、医師会会長の武見太郎に阿諛追従する医事評論家だった水野肇は「医師の子供が医師になるのは自然であり、医師以外の家庭の子が医師になるよりずっといい」と公言していました。

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大学教授や学校教員・・という学問の世界も、やはり親のコネや学閥で、採用が決まります。そもそも研究テーマが異なる研究者の実績や能力を、客観的に評価し優劣をつけることなど至難です。だから、誰を選ぶかとなると学閥やコネがものを言います。

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そのうち、過度な競争を厭い、「子供は親の職業を継ぐのが、一番平和で無難だ・・・」という奇妙な考えが世の中にはびこります。恵まれた人達は、ひたすら既得権の維持を考え、恵まれなかった人達は、「カエルの子はカエルさ」と言って、一つの諦念の中で納得しようとします。それはそれで平和ですが、社会の活力は失われます。それに憤る人もでます。

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憤るのは、有能でありながら機会を得られなかった人、そして親のコネと金で医者になった藪医者に診療される気の毒な患者たちです。

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だから、人々は門閥や世襲と無関係な完全実力主義の世界に一つのカタルシスを感じます。基本的に、個人の能力が全てである、スポーツの世界や、頭脳競技の世界がそれですが、角界については、奇妙な門閥制度があることを前回、ご報告しました。

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しかし、面白いことに、頭脳競技の世界にも門閥制度があるのです。

将棋のプロ棋士になるには、奨励会に入る際、必ず誰かの弟子になる必要があります。お師匠さんを戴くという点では、古典芸能や落語、お茶、お花の世界と似ています。

今をときめく藤井七段の師匠は、「鷺宮定跡」の使い手の杉本七段で、その師匠は早世した板谷進八段、その師匠は父親の板谷四郎九段で、東海地方の名門板谷道場の門下生となります。

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囲碁でも同じように、師匠と弟子の関係があります。昭和の時代、木谷道場の門下生達が圧倒的に強く、日本棋院を席巻したのを記憶される方も多いはずです。

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しかし、昔は重要だった師匠と弟子の関係ですが、若手が技術を磨くという点では、あまり意味が無いようです。 最近はだいぶ様子が変わってきました。

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将棋では、同門だろうが、違う師匠の門下生だろうが関係なく、研究会を開き、そこで腕を上げます。 違う一門だから研究仲間に入れないということはなく、実力があれば歓迎、実力が無ければお呼びでない・・という、ある意味、別の厳しさがあります。囲碁では孤高の天才棋士、藤沢秀行が秀行塾を開き、集まった院生達を分け隔てなく指導しました。同じ師匠を戴く門下生同士でなければ修行できない時代ではありません。

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そして重要なのはインターネットとコンピューターの活用です。インターネット対局を活用すれば、遠隔地にいても、他の道場にいても対局し研究できます。また人間同士で対局しなくても、コンピューターを相手に研究すれば、そちらの方が、効率的に棋力が上がるという意見もあります。

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もはや、師匠と弟子の関係は実力を上げるためのものではなく、悩める天才青年達の人生の指南役として師匠が機能する時代なのです。そんな存在なら、門閥は要らないのではないか?と私は思います。

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前述した内容の繰り返しになりますが、人々は、しがらみがなく実力だけで勝敗が決まるスポーツや頭脳競技に憧れ、応援します(それだけではありませんが)。それなら、門閥システムは止めた方が良いのではないでしょうか?

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話は換わりますが・・・、NHKの大河ドラマには2つの時代しか登場しません。幕末から明治維新にかけての時代か、戦国時代から安土桃山時代の2つです。以前は源平の戦いや忠臣蔵の時代なども登場しましたが、やはり無難なのは、戦国時代と明治維新のようです。

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なぜ、この時代が視聴者に好まれるか?といえば、抽象的な表現ですが、時代に躍動感があり、無名の人が活躍した時代だからです。庶民が活躍し、英雄が登場し、既存の権威を破壊し、新しい世界を築けた時代だからです。

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前回、書きましたが、日本経済が発展したのも、明治維新後と第二次大戦後の復興から高度成長期です。では外国はどうか?と考えると、大体似ています。

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韓国は「漢江の奇跡」と呼ばれる高度成長の後、今、景気の曲がり角を迎えています。いろいろな理由があるでしょうが、朝鮮戦争後に一代で財閥を築いた名経営者が引退し、子供の代になって、成長力が衰えた・・・のが理由です。儒教文化で家を大事にする韓国では、公共の存在であるべき企業も、家族のものであり、個人商店の延長です。当然、経営者も世襲です。

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その結果、サムスンなどの大財閥ですら、創業者の子息が後を継いで経営者となるのが当たり前です。しかし、その子供達に経営者としての資質がないために、いろいろな問題がでて、スキャンダルが発生しています。

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サムスンの息子は、大統領に巨額の賄賂を贈り、ロッテグループは兄弟で骨肉の争いを演じ、大韓航空のお姫様は、袋入りのナッツに激怒して飛行機を戻します。

大財閥だけでなく、中小企業も、経営者は子供達に後を継がせます。その結果、韓国経済の成長が遅くなり、競争と活気がない社会になります。

一方で、継ぐべき会社もない、一般の人達は、大変な就職難に見舞われます。

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中国もほぼ似ていますが、少し違います。

中国が改革・解放政策により、高度成長が始まり、今も大発展しているのは、ご承知の通りですが、これは文化大革命の混乱と破壊の後、門閥に頼らない逸材が活躍できたからです。しかし、一代で企業を興し、財産を築いた人達ですが、そろそろ引退し後継者にバトンタッチする時期です。そこで誰が後を襲うかが、重要です。

優秀な人は個人商店の使用人になるのを潔しとせず、かといって中国国内にチャンスが無いと知れば、外国に脱出するでしょう。人口は多いけれど、経済発展に尽くす人は意外に少ない・・ことになります。日本にある意味で似ています。

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私が今、注目しているのは引退を表明した中国一の成金で、アリババの創業者であるジャック・マー氏の後継者です。 若くして実業界を去り、福祉と慈善事業に力を入れるという生き方は、ビル・ゲイツに似て、実に恰好いいのですが、もし後継者に自分の子息や親戚をあてるのなら、あまり尊敬できません。そして中国の実業界も所詮、世襲さ・・となると、皆が元気をなくし、中国の経済成長はやがて息切れします。

もし、赤の他人に経営を委ねるのなら、これは大人物です。中国の経済成長も続くかも知れません。

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日本では戦後の高度成長期に発展した会社で、無能な息子(某家具屋の場合は娘)を後継者にした例がいくつもあります。 (実名を挙げると、差し障りがあるので言いませんが)。 あるいは、歴史のある会社で、いまだに学閥に拘っている会社が多くあります。それらの一種の公私混同を経営者が行うことで、どれだけ経済の活力が削がれ、多くの有意の人材がやる気を失い、そしていかに多くの富が失われたかを考えるべきです。

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160年前に福沢諭吉先生が「門閥主義は親の仇で御座る」と言われた言葉は今も通用するのです。


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【 重ねて思う、世襲・門閥主義の弊害 その1 】 [政治]

【 重ねて思う、世襲・門閥主義の弊害 その1 】

 

一時代を画した昭和の大横綱だった貴乃花親方が相撲協会と対立し、引退(辞職?)しました。もともと奇矯な行動が多かった人物ですが、かつての大横綱がこんな形で角界を去るのは残念なことです。

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しかし、その理由を聞いて改めて思うことがあります。貴乃花曰く、「弟子への暴行事件の訴えを取り下げなければ、現在6つある「一門」に身を置くことは許されない と圧力を受けた。どこかの「一門」に籍を置かなければ、相撲部屋を持つことはできないが、自分の筋を曲げることはできないので、やむなく自分は引退し部屋を解散することとした」とのことです。

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相撲協会側は、「貴乃花に退職を迫ったことはない」と否定しますが、「一門」にいられなくなる・・というのは退職の強要と同じことです。狡猾なやり方だな・・と思います。それにしても、角界の一大勢力だった「二所ノ関一門」の中心にいて、時間が経てば理事長職も見えていた貴乃花です。伯父さんは理事長も務めた初代若乃花、実父は初代貴乃花という名門中の名門に生まれ、角界のサラブレッドだった貴乃花が、門閥主義に苦言を呈して、角界を去るというのは、実に皮肉です。

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門閥主義を蛇蝎のごとく嫌ったのは福沢諭吉先生です。お坊ちゃん学校のように言われる慶應義塾ですが、その創始者である福沢諭吉先生は、「福翁自伝」の中で、「門閥制度は親の仇で御座る」と言っています。

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豊前の中津藩の下級武士であった福沢諭吉の父親は、大阪の蔵屋敷に勤務しており、福沢先生も大阪で生まれています。その後、父親の死によって中津に行き、そこで少年時代を過ごすのですが、下級武士の子供として一種の閉塞感の中で育ちます。そこで彼は、全く凡庸もしくは無能な上級武士の子弟が、高位顕官に就くばかばかしさを嫌というほど見ています。だから「門閥制度は親の仇」です。

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身分の差、階級の差を克服するには、学問を修めるしかない・・という発想で、彼は大阪の適塾で蘭学を学びます。それ以降の福沢先生については、いろいろ書くべきことがあるのですが・・・、それは別稿に譲ります。

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評論家の山本七平だったかが「福沢諭吉ほど、有名なのに読まれない思想家はいない」と語っていますが、まさにその通りでしょう。

福沢先生の著作で最も有名な「学問ノススメ」の冒頭には、あの人口に膾炙した「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らずといへり」の一文がありますが、それを多くの人は曲解します。その部分のみを取り上げて、福沢諭吉は絶対的な平等主義者だと、早合点する訳ですが、実は全く逆で、彼は人というより人格の上下の差を認めています。

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彼が言わんとするのは「もともと生まれた時には、人間に上下の差は無いはずなのに、大人になると上下の差が存在する。それはなぜなのだろうか? それはひとえに学問のありなしにかかっており、それで身分差が生じるのだ。だから、諸君、学問に励みたまえ」というのが「学問ノススメ」なのです。「その学問・知識だって、仕事のために必要とされる知識は尊敬に値しない。人格を評価するに値するのは、教養(Liberal arts)である」と彼の説明は続くのですが、そこはさておき、身分の上下を認める福沢先生に対し、絶対平等主義者は反発するでしょう。

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それでも福沢諭吉にしてみれば、生まれた時の境遇、親の地位で身分の上下が固定される門閥制度よりは、自分の努力が反映される学問・教養で身分が決まる時代の方がよっぽどいいではないか?」となります。今風の表現で言えば、結果平等ではなく機会平等です。

「門閥制度は親の仇」と「天は人の上に人を作らず・・・・」は同じことを言っています。

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福沢先生のこの思想は、明治時代の四民平等と庶民に教育の機会が与えられた事への賛歌と言えますが、門閥制度を無くし、全ての人にイコールチャンスが与えられる時代は、経済面でも、刺激になります。

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日本の経済が特に発展したのは、明治維新後の文明開化の時期と、第二次大戦後の高度成長期の時期です。いずれも、それまでのエスタブリッシュメントが崩壊し、全ての人々にチャンスが与えられた時代です。そのタイミングに事業を興し、経済人として成功した人もたくさんいます。つまり、財閥の初代の人たちです。生まれた時の境遇からは考えられなかった地位や役職に就き、富を得、世界を動かした人もいます。

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しかし、その後時間が経ち、安定の時代に入ると、世襲、門閥のシステムができあがります。

経営者も2代目、3代目となると、先代の事業を引き継ぐだけで、創業者の心意気はありません。既得権者はギルド化し、後発の参入者を排除します。お金持ちや権力者の2代目、3代目に生まれなかった人は、激動の時代の人達よりはるかに高い壁を越えなければなりません。

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自由主義を信奉し、法律で人々の平等をうたう日本ですが、平成も終わりの現代、社会は世襲化と門閥主義の跋扈が、かなり深刻な状況です。裸一貫、実力だけで地位が手に入るはずの角界でさえ、門閥が意味を持つとするなら、それ以外の社会では窒息してしまうではないか?と思います。

 

では実際のところどうなのか?それについては次号で。


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【 日章旗 江華島事件 軍艦旗 その2 】 [政治]

【 日章旗 江華島事件 軍艦旗 その2 】

 

他の戦争と比較し、あまり語られない江華島事件ですが、多くの注目すべき点があります。まず、背景に李氏朝鮮の非常識な外交姿勢があります。日本の明治新政府は、政府が成立した後、挨拶の意味で李氏朝鮮に何度も国書を送っていますが、全て朝鮮は受け取りを拒絶しています。国書や親書の拒絶というのは、戦争中の相手国でもほとんどなく、私は他に聞いたことがありません。そういえば李明博大統領は安倍首相からの親書の受け取りを拒否していますが、それぐらいです。

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しかも、拒絶の理由というのが不可解です。華夷秩序(中国を最上位に置いて、周辺諸国が順番に並ぶという東洋の文明序列)に於いて、劣位に位置する日本が、他の東洋諸国より先に西洋かぶれするとは何事か!という「上から目線」のもので、使者が洋服を着ていたとか、蒸気船に乗ってきたから西洋かぶれで怪しからん・・というバカげた理由です。また清国の属国根性が抜けず、清国の皇帝だけが使う「皇」の字を日本が使うのが怪しからんとも言っています。

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その結果、日本政府の中に、「朝鮮は無礼で生意気だ。朝鮮討つべし」という声が澎湃として起こったのも、ある意味理解できます。一方で失業した士族を救済するための方策が必要でした。士族を開拓農民にすることを考えた大久保利通に対し、西郷隆盛は韓国征伐の兵力として士族を活用しようと考えた訳です。

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世のリベラル派の人達は、嫌韓論やヘイトスピーチが最近登場したかのように語りますが、なんのことはない、150年前から嫌韓論は存在し、一方で朝鮮半島には反日思想が存在したのです。

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そんな中、雲揚号は平和的に朝鮮半島沿岸を訪れていました。江華島への接近も真水の供給のためです。実は江華島は江華島事件の前にも米国の艦船にも砲撃を加え、逆に攻撃されて砲台を占拠されています。だから接近する外国の軍艦に神経質になっていたという説がありますが、事件後の事情聴取での朝鮮側の証言はデタラメで、その説も信用できるものではありません。それにしても懲りない砲台です。

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ところで脱線しますが・・、19世紀の時代、陸上砲台と水上艦との交戦は、どちらが有利か・・・、よく分かりません。下関戦争では陸上砲台の方がコテンパンにやられました。薩英戦争では55分かなぁ? 動き回れる分だけ軍艦側が有利ですが、大砲の命中精度は揺れない陸上の方が高いとも言えます。しかし、当時の性能の劣る陸上のカノン砲では、アームストロング速射砲などの高性能の艦砲に負けた可能性があります。だから、陸上砲台の方が全体としては不利です。

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パリには、下関戦争の戦利品として連合国の艦隊が持ち帰った長州藩の青銅製の大砲が展示してあります。基督像ならともかく、兵器・武器に青銅とは・・と、驚くばかりですが、金属に詳しい友人は、「近代製鉄法以前(韮山の反射炉以前)、日本には高品質な鋳鋼を製造する技術はなく、脆くて弱い鋳鉄を使うくらいなら、青銅の方がましだったかも」。

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19世紀の時代、良質な金属材料が得られない国は必ず戦争に負けたのです。江華島の砲台の大砲が何でできていたのかは寡聞にして知りませんが、雲揚号の前には非力な存在でした。武力衝突の後、日本側は、「雲揚号は国際法に則って、国旗を(それも3枚も)掲揚していたのに、攻撃してきた」と主張しており、国際的に認められました。

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それに対し朝鮮側は「旗は確認できなかった」と証言したり、あるいは「米艦だと思った」「日章旗ではなく黄色い旗だった」と証言したり、説明はバラバラで支離滅裂だったそうです。そして「もしちゃんと国旗を掲揚してくれたら攻撃しなかったのに・・・」と非が日本側にあるごとく語っています。

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繰り返しになりますが、江華島を訪問した雲揚号は決して砲艦外交をした訳ではありません。19世紀、大型の軍艦を派遣して威圧する砲艦外交が流行りましたが、日本には大型軍艦もなければ、外洋を遠くまで派遣する実力もありませんでした。雲揚号はあくまで平和的に訪問したのです。

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江華島事件は悪いことばかりではありません。 武力衝突で彼我の力の差を目の当たりにして、ようやく李氏朝鮮は重い腰を上げ、攘夷主義を止めて、日本との外交関係樹立に向けて動き出しました。華夷秩序で格下の日本などと対等の外交関係が結べるか・・と言っていた訳ですが、現実路線に転換せざるを得なかったのです。

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外交関係樹立に動き出したことにより、日本の征韓論者も根拠を失い、西郷隆盛は下野しました。征韓論が下火になることで、明治政府は予算を文明開化のインフラ整備に充てることができ、北海道の開拓事業も進みました。西南戦争は不幸な事態でしたが・・・。

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私は、江華島事件の際、日本が3本も掲げたという国旗が日の丸だったのか、軍艦旗(旭日旗)だったのかが気になります。

当時の絵は複数残っていますが、それには、「日の丸」と「軍艦旗」の両方があります。

江華島事件.jpg  1920px-UnyoBattle.jpg

 

画家が江華島の現場に居合わせた訳ではなく、想像なので、真実は分かりません。

もし軍艦旗の方だったのなら、韓国人の軍艦旗アレルギーは、150年前の江華島事件の遺恨なのかも知れません。 もっとも、前述の通り、朝鮮側は日本の国旗は見ていない・・とも証言しているのですが・・・。

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うーむ、江華島事件のトラウマとして韓国人が旭日旗を嫌うのなら、これは仕方ありません。さてどうしたものか・・と考えていたら、内閣改造で小野寺防衛大臣は交代し、岩屋防衛大臣になりました。さて、岩屋氏は韓国からのこの難癖にどう対応すべきか?

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私は、岩屋防衛大臣にこう提案したい。

ここは韓国の顔を立てて、軍艦旗(旭日旗)をいったん降ろしましょう。そして軍艦ではない商船のルールに則り、艦尾に日の丸の国旗を掲げ、中央のマストに訪問先である韓国の国旗(太極旗)を掲げ、敬意を表しましょう。

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しかし、日の丸と太極旗は似ており、遠目には区別がつきません。日本の船だか韓国の船だか分からなくなるのは困ります。 ここは太極旗を元のデザインに戻して、強調・差別化するのが適当です。すなわち、大清国属国高麗国旗の文字を書いて、昔の太極旗にするのです。

 

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それを見て、韓国の人がどう思うかは分かりませんが、若い人は漢字が読めないから意味も分からず、単純に喜ぶかも知れませんね。


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【 日章旗 江華島事件 軍艦旗 その1 】 [政治]

【 日章旗 江華島事件 軍艦旗 その1 】

 

佳境を迎えたNHKの大河ドラマ「西郷どん」ですが、気になることが一つあります。

明治維新後、西郷隆盛は征韓論を唱えて政府内で対立すると、下野して鹿児島に帰り、西南戦争を始めたことは、ご承知の通りです。韓国・朝鮮とデリケートな関係にある日本は、主人公の国民的ヒーローに征韓論を唱えさせていいのか? と外野席のオヒョウは考えます。視聴者や外国政府以前に、在日の人が多い放送業界や芸能界で、征韓論を持ちだすのはかなり冒険です。 ひょっとして、ドラマでは明治維新後の西郷隆盛には触れないつもりなのか?でもそれでは描かれる西郷隆盛は偽物となります。

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今の日本で、征韓論について語ることは一種のタブーのようですが、一度考えてみる必要があると思います。

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そうこうするうちに、済州島を訪問する海上自衛隊の護衛艦に対し、「旭日旗を掲げるな」という無茶な要求が韓国から出されました。

https://www.asahi.com/articles/ASL9W5284L9WUHBI02V.html?iref=pc_extlink

小野寺防衛大臣(当時)が拒否すると、今度は韓国で旭日旗を禁止する法律を検討し始めました。

https://www.asahi.com/articles/ASLB24SRCLB2UHBI017.html

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自衛隊の艦船が、艦首に日章旗を、艦尾に軍艦旗(旭日旗)を掲げるのは、国際法上、認められた行為であり、かつ慣習として実績のある行為です。逆に、旗を掲げずに入港すれば、海賊とみなされて攻撃されても文句が言えませんし、軍艦が国旗や国旗に準じる旗を敢えて降ろすのは、降伏の意味を持ちます。いくらなんでも自衛隊の護衛艦にそんな非常識なことはさせられません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E9%A6%96%E6%97%97

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韓国が国内法で旭日旗を禁止したとして、国際法(もしくは国際慣習)と韓国の国内法のどちらが優先されるのか、私には分かりません。それにしても、自衛隊ができてから60年以上経過し、韓国と国交が正常化してからも50年以上が経ちます。昔は、海上自衛隊の艦船が韓国の港に入る時、軍艦旗(旭日旗)に対して、何も言わなかったのに、何で最近言い出したのでしょうか?

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海上自衛隊の幹部だったNさんに尋ねると、確かに昔は韓国の人は旭日旗を何とも思っていなかったそうです。しかしここ数年は、拒否反応を示すようになったとのこと。今になって、日本軍国主義の象徴だとか、戦犯旗だとか言い出したのはなぜか?例によって朝日新聞が焚き付けたのかな?でも朝日新聞の社旗こそが軍艦旗だし・・・。

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今から10年以上前、中国では、戦前戦中に日本や日本人から受けた理不尽な行為や悪徳行為を探し集めて発表せよ・・・という通達が出ました。とにかく日本を非難し、優位に立って文句が言える材料を探していたのです。 同時期、韓国でも反日のネタを探していました。日韓の国交正常化以降、韓国は、教科書問題、慰安婦問題、徴用工問題・・と、日本に言いがかりをつける材料を定期的に探しています。しばしば日本のマスコミもそれに加担してデッチアゲを行う訳ですが、その一環として旭日旗に言いがかりを付ける方針を決めたのでしょうか?

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しかし理解できません。豊臣秀吉の朝鮮出兵以降、日本が朝鮮に対して面と向かって戦争をしたことはありません。むしろ、第二次大戦では朝鮮半島出身の将兵が旭日旗のもとに日本軍人として参戦していたのです。韓国がどうして被害者側になるのかな? と考え、一つだけ思い当たりました。

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それは明治8年の江華島事件です。ご承知の方も多いでしょうが、これは明治以降、日本海軍が最初に外国と交戦した事件です。 完全に国際法に則り、平和裏に漢江の入り江に接近した日本海軍の雲揚号に対して、突如、江華島の砲台から発砲し、正当防衛の形で雲揚号が反撃し、江華島の砲台を破壊して沈黙させ、さらに島に上陸して砲台を占拠した事件です。

 

ではこの事件がなぜ、征韓論や軍艦旗(旭日旗)を連想させるのか・・については次号で申し上げます。


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【 北海道のブラックアウト その3 】 [雑学]

【 北海道のブラックアウト その3 】

 

北海道の地震でもうひとつ問題だったのは、通信手段が麻痺して、その復旧が遅れたことです。携帯電話の中継設備の電源が失われたこともありますが、急増した通信需要に設備容量が追い付かなかったことも原因です。

なぜそうなったか?と言えば、人々の通信がインタラクティブになったからです。カタカナ英語は苦手なので、日本語に言い換えれば、人々が使う情報伝達手段が双方向になったから ということです。

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かつて、一般の人は受け身の立場にあり、情報とは放送や新聞によってもたらされるものでした。皆が同じ情報を同時に受けとりますが、逆に自らが発信することはありません。つまり一方通行の情報です。 通信手段としては、最小限度のAMラジオとアナログの固定電話があれば十分でした。例え停電しても、乾電池で動くトランジスタラジオは、停電時も使えました。

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乾電池がなくても、鉱石ラジオやゲルマニウムラジオを使えば電源なしで聞こえます。

台風接近も、ラジオで知ります。天気概況の「御前崎 西の風 風力3・・・」といったアナウンサーの声で、自分で天気図を書いたりしました。

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今はそうではありません。圧倒的な情報量が押し寄せます。スマホの画面を押せば、気象衛星の雲の画像や、気圧、降水量、気温のパターンが現れます。通信量は膨大です。

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それだけではありません。人々は情報の発信者になりつつあります。 地震や台風の現場の状況は、普通の人々がスマホで撮影してインターネットにアップします。以前は、インターネット情報を無責任で質の悪い情報だとして嫌っていたマスコミも、視聴者が撮影した携帯やスマホの映像をそのまま使います。

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それに加えて、地震や台風の災害が発生すれば、人々は家族・友人・知人の安否を確認するために、電話します。あるいはLINEで通信します。通信の主役は双方向の通信になります。全員が情報の発信者になれば、飛躍的に通信量は増え、回線はパンクします。今、インターネットの回線の性能を言う時、必ず上りと下りの通信速度が表示されますが、昔の電話回線には上りも下りも無かったのです。時代はインタラクティブです。

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かつて固定電話しか無かった頃、回線がパンクして電話がかからなくなっても、人々は辛抱しました。 今、携帯電話が通じなければ、その不便さは堪えられるものではありません。 我々が我儘で贅沢になったのか、それともそれが当たり前なのか?

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では、どうすればいいのか?

災害発生時などの緊急事態に、通信量が増えてしまうのは、ある意味仕方ないことです。皆さん、家族や知人の消息を知りたい訳ですから。 しかしその場合でも、通信量を節約することは可能です。

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長い文章は不要です。長い会話も不要です。動画もいらないでしょう。ただ生きているということを示すために、笑顔の自撮り画像を一枚送信すれば、全てを物語ります。実際には家が壊れたり、怪我をして泣きたい気持ちであっても、にっこり笑って自分の顔を送りましょう。それだけで、心配してくれている人達は安堵します。

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通信は、長時間かけて送信しても冗長になるだけで本当の意味での情報量が増えない場合があります。むしろ短時間に送る限られた情報が、とりわけ笑顔の顔写真が、全てを物語る場合もあるのです。

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20世紀の後半、パロアルト研究所の所長だったネグロポンテ博士は、「やがて有線の通信手段は無線になり、無線の通信手段は有線になる」というネグロポンテスイッチを予言しました。21世紀の初め、実際にそうなりましたが、2010年代はさらに変化しています。 高速インターネットは既に、幹線部分は光ファイバーになり、抹消部分はWiFiBluetoothの無線を用いる複合型になっています。通信もハイブリッドの時代です。無線は5Gの時代になりつつありますが、光ファイバーの性能もさらに向上するでしょうから、ハイブリッド型通信はこれからも続くでしょう。

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そこで、地震や台風、洪水や停電に強い通信システムは?と訊かれても、門外漢の私には分かりません。 でもとにかく回線の数を増やし、冗長性を持たせる事が重要だと思います。 それも、単に変調方式を工夫して、1本のケーブルの中の回線数を増やすのではなく、物理的にケーブル(ファイバー)の本数を増やすことが重要です。

また長時間の停電時に中継地点の機能を失わないために、長時間の放電に耐えるマグネシウム電池など、多様な非常電源装置を持つことも重要です。

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通信量の急増に対してパンクしないシステム、停電や災害に対して強いシステム、停電し、電話が通じない静寂の中で、そんな事を考えるのもいいかも知れません。


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【 密かに語る沖縄独立論 その4 】 [政治]

【 密かに語る沖縄独立論 その4 】

 

別の民族だから、別の国家であるべき・・という独立論者の論理は詭弁です。日本をはじめ、多くの国家は多民族国家です。 むしろ単一民族で構成される国家の方が少数派であり、国境を隔てる理由は肌の色より思想信条や宗教の方が多いと言えます。

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マスコミは、これまで政治家が日本を単一民族国家と言おうものなら、すぐに揚げ足を取り、噛みついてきました。「虐げられたアイヌを忘れるな」、「沖縄の人々を忘れるな・・」という訳です。 その影響を受けた鳩山元首相などは、「日本は日本人(日本国籍を有する人々)だけのものではない」という、理解に苦しむ発言をしています。

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それが最近は風向きが変わってきました。これまで挙げてきたように、中国は「沖縄は日本のヤマト民族とは異なる民族であり、だから琉球は日本から独立した国家だ」 と主張しています。 これは50以上の民族を束ねていることを誇る中国の主張とは思えないのですが、日本の中に、その主張に賛同する人が多くいます。

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北方領土を返したくないロシアは、「南クリル諸島(北方四島)に、もともと暮らしていたのは日本人ではなくアイヌ人であり、これらの土地は日本に帰属しない」と主張しています。そして日本の親ロシア勢力、および左派系の言論人は、それを受けて北方領土は日本のものではない・・と言いだしています。

http://userweb.alles.or.jp/tariq/pirika/gogo-nothandominon2002.html

ロシアは従来 「それまで誰が住んでいたかではない。血を流した戦争の結果が、国境線だ」と言っていましたが、アイヌの人々の主張を聞いて、主張を180度変えたようです。全く要らぬ知恵を付けたものです。

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沖縄独立論者、北方領土返還反対論者が拠り所とする、「ひとつの民族は自分の国家を持つべきだ・・」という主張は、大きな矛盾を含むと同時に、混乱の要因となります。それらの人々が強いシンパシーを感じている中国もロシアも代表的な多民族国家ですが、それについては言及しません。

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少数民族つまりマイノリティは、しばしば迫害され、不利益を被る・・というのは事実です。だから中国、米国など各国は少数民族を優遇したり慰撫したり、なんとか公平の実現を図りますが、あまり成功していません。でもそれだけ苦労しても、国家の分裂を避けるべきだ・・というのが、一般的な国家の理念です。

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北方領土は日本に返還すべきではなく、ロシアに帰属させるかあるいはアイヌ共和国として独立させ、沖縄は琉球国家として独立させるべきだ・・というのは、一種のアナーキズムに近い訳ですが、本当は沖縄独立ではなく、中国の属国を目指すとなるとこれは別の問題です。

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マスコミは、玉城デニー氏が何時首相や官房長官と面会するかに注目していますが、私は玉城デニー氏が何時中国を(密かに)訪問するかに注目しています。


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