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【 うなぎの値段 】 [中国]

【 うなぎの値段 】 

土用の丑の日の頃、スーパーマーケットで気付いたのはウナギの値段の差です。 基本的に、台湾産のウナギは、国産のウナギの半値、さらに大陸中国産のウナギは、そのまた半分・・・つまり、国産の1/4の価格です。 

どのウナギも、多分同じ海域(台湾沖の深海?)で生まれた同じシラスから育ったものです(一部、欧州産もあるか?)。でも育った場所で、これだけ値段に差があるという事は、ウナギの世界は氏より育ちと言う事ですね。

人間の世界は、氏と育ちの両方で格差社会が進行していますが・・。

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商品の価格は、需要と供給のバランスで決まるのだとすれば、大陸中国産のウナギはそれだけ人気が無いという事です。それを単なる風評の影響と考えるか、合理的な根拠を元にした判断と考えるかがポイントです。

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中国の人に訊けば、多くの人が、これは風評被害であり、中国産品に対するいわれなき中傷・濡れ衣だと言うでしょう。日本人に訊けば、多くの人が、中国産は心配だ・・と答えるでしょう。

どんなに理屈を並べて説明しても、最後は買う人の気持ちの問題ですから不安なものは買いません。

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実際、大陸中国産の一部のウナギには大量の抗生物質を与えており、それがウナギの体内に残存している可能性があります(勿論全てがそうではありませんが)。

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ではなぜ、中国産品/中国製品に対して不安を持つのか?中国の人が言う様に、小さな事件を針小棒大にあげつらい、不安をかき立てる、反中国分子の仕業なのか?オヒョウはそうではないと思います。日本の消費者は、個々の事件から、大陸中国の人々の価値観や思想を見抜いているのだと思います。

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食品メーカーが使う食品添加物には善意の添加物と悪意の添加物があります。 どちらも最終的にはメーカーの利益になると考えて添加する訳ですが、消費者の利益になる場合(善意)と、ならない場合(悪意)の両方があります。 そして日本の消費者はそれを敏感に嗅ぎ分けるのです。

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前回、申し上げた防腐剤は、賞味期間を長くし、在庫のロスや、価値の減損を防ぐ上で、メーカーや販売業者にもメリットがありますが、消費者にとっても、食品が長持ちする事は悪い事ではなく、食中毒を防ぐと言う点でメリットがあります。デメリットは、消費者の健康への悪影響ですが、メリットとの比較で、プラスと思われれば、採用されます。 

現在行政が認可している添加剤は基本的に、プラスの方が大きいものです。これは日本でも中国でも同じです。つまり、この場合は、善意の添加物です。

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問題は悪意の添加物です。具体的な例としては、中国で乳製品にメラミンを添加した事件があります。これは、メーカーのみが不当な利益を得て、消費者は深刻な被害を受けます。 消費者を欺く行為であり、当然ながら中国でも犯罪です。

 しかし、犯人として逮捕され、刑事罰の対象になったのは、わずか数人の末端の酪農家と一部の牛乳メーカーです。 

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蛋白質の量は、窒素の含有量で表示されるから、蛋白質がなくても窒素の含有量だけは増えるメラミンを使えばごまかせる・・・。薄めた牛乳に安価なメラミンを混ぜれば儲かる・・・という理屈は、一般の酪農家が思いつくものではありません。 

窒素を用いる分析方法を知っており、固有の抜け道を見つけるのは専門家しかできません。検査する行政側に悪知恵を出した人がいるはずですが、お咎めはありません。 

お咎めがないのは、社会全体が、その種の行為に対して寛容であるという事です。

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その社会全体に対する懸念が、中国製品への警戒につながり、ひいてはウナギの値段に反映しているのです。日本人は悪意の行為として添加された食品添加物は許しません。

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悪意の行為として不正な添加物を入れる事件の背景には、自分さえ良ければ・・という大陸中国特有の悪しきミーイズムがあります。

・屋外で、路傍にゴミを捨てるのが当たり前のマナー。

・禁止されている農薬を平気で販売する店と使用する農家。

・河川を汚染して恥じない工場。

・公共の場所で傍若無人に大声で話す人々。

・安全への投資を怠り、事故をおこせば、金を懐に外国に逃げ出す炭鉱経営者・・・

彼等に共通するのは、自分さえ良ければと言う発想です。これは中国のしきたりとか文化という事ではなく、道徳観の問題です。その人達が生産者として農産物を作る場合、果たして消費者に対して誠実であるだろうか? と日本の消費者は考えるのです。

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この悪しきミーイズムは、個人レベルだけではありません。国家も自己防衛に走ります。毒入り餃子事件では、ついに中国政府は原因と犯人をうやむやにすることに成功しました。 国家の面子を重視し、その前には、犯人の特定などどうでも良かったのです。

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この事件は未必の故意による殺人か傷害を目的に、食品を意図的に毒薬に浸した犯罪で、普通の食品添加物の問題とは全く違いますが、被害者の立場を考慮せず、加害者に甘いという点で共通点があります。

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翻って、日本はどうか?日本にも、常に不正を試みる人はいます。食品の産地偽装や廃却すべき不良品をごまかして売る手口は後を絶ちません。しかし、発覚した場合、彼等には厳しい社会から糾弾があり、法的処罰以外でも社会的に抹殺される可能性があります。だから不正を思いとどまり、安全が保たれているという面があります。

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日本の消費者は厳しく、不特定多数を被害者とする犯罪を厳しく断罪します。 行政も司法も基本的には被害者の立場を尊重し、消費者の声が尊重されます。

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被害者の立場や憤りは、日本でも中国でも同じなのに、加害者に求められる呵責が大きく違うのはなぜでしょうか? これは恐らく、中国が民主化されていないからではないか?とオヒョウは思います。 民主化されていない社会では消費者や庶民の声をかき消す事は比較的容易です。 ひどい話をすれば、地方政府幹部や公安になにがしかの賄賂を贈って味方にしてしまえばいいのです。

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ウナギの話に戻ります。万一、ウナギから禁止薬物が発見され、食べた人が中毒になったと仮定します。 これが日本で養殖されたものであれば、徹底的に調査され、養殖業者は刑事告発され、多分事業は継続できなくなるでしょう。勿論、被害者は賠償請求をできます。

しかしこれが、中国からの輸入品であれば・・・、中国での調査は極めて杜撰なものになるでしょう。犯人は特定されず、賠償請求も受け付けられないでしょう。 中国政府は、中国側に責任は無いと主張するでしょうし、被害者が日本人であれば、民族感情も絡んで、事件の真相究明にますます熱心でなくなるでしょう。

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繰り返しになりますが、民主化されていない社会では、しばしば消費者はないがしろにされ、生産者の犯罪に対して行政や司法は寛容になります。 だから人々は中国製品を嫌い、ウナギの値段は安いのです。

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宋文洲氏は、中国には日本の10倍の人口があり、格差も大きい。それに品質管理のレベルはまだ低いのだから、食品の品質問題は日本の10倍あっても仕方ない・・と言われますが、全く違います。 

メタミドホスの添加やメラミンの添加は意図的に行われた犯罪であり、品質管理のスキルとは全く違う次元の問題です。そして、メラミン問題はともかく、メタミドホスによる殺人未遂は、国家が意図的にサボタージュして犯行をうやむやにしたのであり、これが、日本人の不信を招いているのです。 

宋文洲氏が、それを知っていて、問題を品質管理の技術力の問題に帰着しようするなら奇怪な事です。

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哲学の初心者向けの授業で、善と偽善を識別する例題があります。

「正直は最良の商法である」という諺は善か偽善か・・?という設問です。

正直自体は善ですし、他者(お客)に誠意を示す事も善ですが、最終目的は、自らの利益を大きくすることであり、やはり偽善である・・というのが一般的な回答かと思います。日本の生産者が、メラミンを添加しないのは、或いは偽善なのかも知れません。 でも明確な不善として、メラミンやメタミドホスを添加する中国の生産者よりはましです。 そしてその不善を許容するのは民主化されていない社会体制であると、オヒョウは考えます。


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