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【 屋根の話 】 [雑学]

【 屋根の話 】

ずっと昔、中学生の頃と高校生の頃、大和路を歩いた事があります。ご承知の方も多いでしょうが、その飛鳥の遺跡群に「板葺きの宮跡」というのがあります。多分、大化改新の頃の建築であろうと思いますが、建物は現存しません。「 板葺きの宮というからには、当時の他の建築は、板葺きではなかったのだろうね。何葺きだったのかな?」

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中学生のその質問に答える人は、その時はいなかったのですが、多分茅葺きであったのだと思います。 そして法隆寺の五重塔などにも使われた板葺きは、茅葺きよりも上等だったに違いありません。

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もっとも、板葺きにも各段階があり、金閣寺や銀閣寺に用いた、薄い板を使う柿(こけら)葺きが一番上等だそうです。しかし柿葺きが登場したのは平安時代だそうですから、「板葺きの宮」の時代は、もっと分厚い板を使用したに違いありません。 これはすなおに理解できる事で、昔カンナが無かった時代、チョウナなどを使って、木板を作るのは大変だったはずで、薄い板は特に貴重品だったに違いありません。

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瓦葺きが登場するのは、飛鳥寺(元興寺)、或いはそれより後の四天王寺か、法隆寺の頃でしょうが、当時の瓦は残っていない様ですね。多分、現存する最古の瓦は「天平の甍」に登場する唐招提寺の瓦かと思います。それでも、大化改新の頃には瓦はあった筈で、板葺きの宮の頃、板葺きが一番豪華な屋根だったとは断定できないのでは?とオヒョウは思います。 瓦葺きが板葺きに比べて近代的或いは、豪華だと断定もできないのですが・・。

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実は寺院などの公共建築を考える時、どんな屋根材を使っているかで、当時のその寺院の経済力や、勢力を占う事ができます。おそらく日本の寺院建築で一番上等な屋根は檜皮葺でしょうが、それには触れず、茅葺きあるいは藁葺きについて考えてみます。

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先日 Y博士と、上越の寺院群を訪ねた時、多くの茅葺き屋根がカラー鋼板で覆われているのを見てがっかりした記憶があります。茅葺き屋根の上に鋼板を乗せれば、防火性が向上しますし、北陸の地では滑雪性が向上します。 つまり、屋根の上の雪が滑り落ち、雪下ろしの手間が省けます。従ってカラー鋼板は非常に便利なのですが、一方で通気性を損ねますし、茅葺き屋根の寿命を短くする可能性があります。

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第一、古い建築として写真撮影しても、屋根に鋼板が載っていてはさっぱりです。時代劇のドラマの舞台として登場させる時はどうするのでしょう? 多分CGか何かの手法で処理して、カラー鋼板だけを消してしまうのでしょう。 景観を重視する五箇山や白川郷の合掌造りでは、決してカラー鋼板を載せたりはしません。

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そして、もう一つ、重要なのは茅葺きと藁葺きの違いです。同じ草葺きでも、茅葺きの方が上等で藁葺きの方が下等です。昭和30年代に東都書房から出版された山本和夫の児童文学「町をかついできた子」には、山の分校の校舎が茅葺きなのに、新聞に藁葺きと紹介されて、用務員のおばあさんが憤慨する場面があります。

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古い寺院建築についても藁葺きなのか、茅葺きなのかで、格が変わってきます。 それがカラー鋼板で覆われては、よく分からなくなります。寺院の格によって、または宗派によって、用いる屋根材に違いがあるのか・・・・その内、研究してみたいと思います。

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実は現代も、金属板葺きについては、金属材料によって大きな価格差があり、屋根の種類からいろいろな情報が読みとれます。値段の安い方から言いますと・・・、

1.亜鉛鉄板 (トタン板というやつです) 

波板と平らな板があります。

2.カラー鋼板 

トタン板に塗料を塗り意匠性と防錆性を改善しています。

3.ステンレス鋼板 

耐食性があり美しいのですが、まぶしすぎる事があります。実際、関西空港のターミナルビルの屋根に使ったステンレス鋼板は、まぶしすぎては、パイロットが困るので、わざとノングレア処理でつや消しをしています。それに・・・錆びないといっても、フェライト系の安物は、やはり錆びます。

4.銅板

古くからあり、金色の時も、緑青を吹いて緑色になってからも、独特の美しさがあり、味があります。

5.チタン板

純チタンの板には、鈍い光沢があり、独特の美しさがあります。それに、酸化発色させて、虹色にする事も可能です。しかも耐食性は抜群で、特に塩分に対してはプラチナと同等の耐食性があります。でも圧倒的に値段が高い。今、チタン葺きの建築を作るとすれば、何かの記念碑か、余程お金のある宗教法人のお寺でしょう。

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オヒョウが欧州駐在だった時、安物の薄い亜鉛鉄板の引き合いがアフリカからあるのに驚いた事があります。 一体アフリカでは、あの安いトタン板をどうするのだろうか・・と思っていましたが、ある映画を見て謎が解けました。

先日見た「ナイロビの蜂」という映画では、トタン板で作ったバラックに近い住宅が延々と続く、ナイロビの街の風景が映しだされていました。「 なるほど、ナイロビにはトタン板の需要がある訳だ・・」と納得しました。映画「熱いトタン屋根の猫」には、実際にはトタン屋根は登場しませんが、アフリカの映画には登場するのです。

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遠い将来、研究者が20~21世紀の建築を調査したと仮定します。トタン屋根が見つかったアフリカは貧しかったのだろうと推測します。そして日本建築を見た時、バブル景気だった頃は、チタン板葺きのハコモノが多く作られ、民主党政権の緊縮財政になってからは、チタン葺きのハコモノはなくなった・・・と、解説するかも知れません。オヒョウが中世の寺院建築の屋根から、いろいろ想像するように・・・。 次号では瓦葺きについて、少し考察したいと思います。


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