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【 技癢(ぎよう)を感じないのか 】 [政治]

【 技癢(ぎよう)を感じないのか 】 

先日、バンクーバーオリンピックのTVを見ていると、ゲスト解説者にオリンピックの代表選考に漏れてバンクーバーに行けなかった選手が登場していました。

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「 なんだか気の毒な事をするなぁ 」と思ったのですが、本人は、くやしさも見せず、出場選手達ととても仲がよく、メールを交換しあっているとの事です。日本からはバンクーバーに励ましのメールを送り、向こうからは現地の状況についてのレポートや感想が届くとの事。

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そういう訳で、彼女は太平洋の向こう側の友達に、リアルタイムで応援メッセージを送っていたのですが・・・、結局、出場した友達が残念な結果になってしまうと、ちょっと困ったような、悲しいような複雑な表情になりました。

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そこで、オヒョウが思ったのは「彼女は技癢(ぎよう)を感じないのか?」という事です。技癢とは他人の行動を見て、自分がとってかわってやりたい衝動にかられる感情です。自分の腕がなる・・というか技を見せたくてウズウズするような状態です。 徳岡孝夫氏によれば、森鴎外がよく用いた表現だそうです。

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疲れた先発投手を見ながらブルペンで肩をならす救援投手、或いはベンチで見守る控えの選手、レジデント医が手術でもたつくのを見守るベテランの医師、学会発表であがってしまった学生を見守る指導教授みたいなものかも知れません。

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勿論、補欠選手が代表選手を見る時も、悔しさや羨望と共にこの技癢の感情があるはずです。 しかしTV画面に映る表情には、その種の複雑さはなく、純粋に友達を応援する善意の人の面影しかありません。これは本当なのか?

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人間、年をとると、ある種の老獪さ・・というかネガティブな感情を隠す事ができるようになります。しかし、彼女はそれにはあまりに若いし、アスリート固有の感情のほとばしりというのも本来あるはずです。彼女は本当に技癢を感じないのか?

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実はネガティブな感情のようで、この技癢は大切な感情です。組織に活力をもたらし、人々を奮起させる原動力です。一流のアスリートは、試合中は敵味方ですが、試合を離れるとよき友達・・・というのはよくある話ですが、裏には強烈なライバル意識がある筈です。そしてそれがなくてはいけません。

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勿論、スポーツだけではありません。政治の世界も同じです。英国は、早くから二大政党制ですが、野党にまわった方は影の内閣(シャドウキャビネット)を作り、何時政権を担う様になっても対応できるように政策を練ります。そしてそれを国民にアピールします。まさに技癢を感じながら、捲土重来を図るのです。

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日本も疑似二大政党制の時代に入りましたが、民主党が野党時代に造った影の内閣は全く機能していなかった事は、政権取得後の政府の迷走を見れば明らかです。 あれだけ長い野党時代があったのに、普天間飛行場の移設先について、全く白紙だったのです。高速道路の無料化についても、年金問題についても、子供手当の問題についても、彼らは何も考えていませんでした。 鳩山首相は「野党時代の方が楽だった」と思わず本音を漏らしましたが、これは彼らが野党時代に技癢を感じていなかった証拠です。

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自民党だって、多分同じでしょう。 与党や首相のあら探しとスキャンダル追究をしていくだけの方が楽ですから・・・。 やがて野党根性が染みついていくでしょう。

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活力ある社会とは、常に表舞台の背後に多くの技癢を感じる人達が控えている世界です。 オヒョウが聞いた話ですが、最近ある会社では社長が急逝したそうです。 すると「俺が社長になる」と何人もの人が手を挙げ、後継者の選択に時間を要したそうです。でも考えてみれば、何時でも経営をまかせてくれ・・と言う人がたくさんいる会社は頼もしいと言えます。

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野党時代に、政権奪取後の政策研究をさぼっていた政党、野党に転落した後、与党に有力な対抗政策を打ち出せない今の野党・・・、これでは日本の政治は危ういです。そして代表選考に漏れた後、悔しさも見せず、オリンピックの競技を他人事と考える、アスリート達・・。これでは、日本のメダル取得数も少なくなろうというものです。

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泉下のいかりやちょうすけなら、こう言うでしょう。

「だめだこりゃ」

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コメント 4

上野まり子

全く同感です。
いつも明快な論評に痛快さを感じます。
by 上野まり子 (2010-02-20 13:11) 

夏炉冬扇

こんばんは。
「技癢」、初耳です。鴎外がよく使った…。勉強になりました。
多分、死んだ言葉でしょうね。言葉は死んで新しい言葉が産まれて時代が「進み」ます。

文章の感想にて、拙作。
誰も言わぬ正解やっと分かりけり「命を懸けているかいないか」

by 夏炉冬扇 (2010-02-20 22:02) 

笑うオヒョウ

上野様 最大級の讃辞のコメントをありがとうございます。
とても嬉しく思いました。

私は、悔しさとか、嫉妬、羨望を表してはいけない・・と教わって育ってきました。日本の運動選手も少なからず、同じ考えなのかもしれませんね。
例えばフィギュアスケートのキム・ヨナは、浅田真生より露骨にライバル意識を剥き出しにしたり、喜怒哀楽を表すように思えます。
技癢という感情は、嫉妬や羨望の延長上にあるのではないか?とオヒョウは考えます。

ただし、それが競技の実力に影響しているかどうか・・・が、私には分かりません。 一番重要なところなのですが、私には見当がつかないのです。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-02-20 22:22) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 コメントをありがとうございます。

ご指摘の通り、技癢は死語でしょう。 皆様が忘れた事や忘れた言葉を取りあげて蘊蓄を語るのは、私の極めて悪い癖で、友人からもしばしば指摘を受けているのですが・・・すみません。 

弁解しますと、このブログを書き始めた数年前に比べれば、だいぶ漢字も減らし、言葉もやさしくしてきたのですが・・、
時々使ってしまいます。

ただ、今回の技癢などは、それに代わるちょうどぴったりとした現代語がみあたりませんでした。私の語彙が不足しているために、適切な単語がみつからないのですが、そういう場合は、難しい言葉を使わざるをえません。
お許し願います。

現代語の言葉を多く知らない為に、逆に難しい言葉を使ってしまう皮肉です。 またのコメントをお待ちします。

by 笑うオヒョウ (2010-02-20 22:30) 

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