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【 日本語のローマ字化  その1 】 [雑学]

【 日本語のローマ字化  その1 】 

民族学の泰斗である梅棹忠夫氏が亡くなりました。 彼の業績と考え方について、このブログに記すほど、オヒョウは身の程知らずではありませんが、今西錦司の影響を受けた研究者がまた一人減った事を、寂しく思います。

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ところで、彼は失明してからも旺盛な執筆意欲に恵まれ、多くの著作を発表していますが、その頃彼は、日本語のアルファベット化を主張していたそうです。 目で文字を追わなくなり、日本語が耳からの音声言語だけとなったら、文字は表音文字でしかなくなります。 だから表意文字の典型である漢字を離れ、表音文字であるローマ字で良いではないか?・・と思ったのでしょうか。そうではないようです。

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彼は日本の文物を海外に紹介する上で、ローマ字化が適当であると言ったそうです。これは彼が失明するより前、海外を探検したり、外国の研究者と交流したりする時に感じた事かも知れません。オヒョウですら、英語圏で暮らして、たまに日本に帰ると、外国人にはこの漢字かな混じり文は難解で、困った存在に違いないだろうな・・と思うほどですから。(自分を例えに使うとは、ずうずうしいですが)。

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実は、日本語をローマ字化しろという意見は何時の時代にもあります。戦後、間もない時期には、山本有三がローマ字化を主張しました。その時は敗戦国が、戦勝国に迎合するように文字を失うのはいかがなものか・・という意見にかき消されました。

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戦後かなり経ってから、ジャーナリストの徳岡孝夫氏がフルブライトで留学した際、現地の新聞記者に同情されたそうです。 アルファベットでないためにタイプライターが使えない日本の新聞は、欧米のジャーナリズムに対して、猛烈なハンデがある・・と。 当時、和文タイプはあるけれど、これは清書のためで書き込み速度を高速化するものではありませんでした。

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欧米でもタイピングは、もともとは秘書やジャーナリストなど文章を書くことが生業だった人達の特技で、誰もが使うものではありませんでした。管理職は、口述筆記で秘書にタイピングさせました。秘書を募集すると、応募者の履歴書には、1分間に何語タイプできるかが技能として示されていました。 

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シカゴ時代、オヒョウは手書きで英文を書き、それを日系人女性の秘書にタイプしてもらっていました。原文の英語がへたくそなので、文章をかなり手直ししてもらいましたが、彼女のタイプも下手くそでした。午後になるとその女性秘書はしばしば酔っ払っており、タイプミスが目立ったのです。修正液で、埋め尽くされた手紙文を前に困った記憶があります。

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タイプライターを全ての人のものにしたのは、パソコンのワープロです。ビル・ゲイツは、ワードプロセッサーの効能を讃え「思考の速度で記録する」という言葉で、文章を書く際、書く速度が遅い為に、思考が中断するロスは許されない・・と唱えました。

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それは、アルファベット言語圏だけの話かと思えばそうではなく、日本語や中国語、韓国語など、いわゆる「2バイト文字文化圏」でも、同じことでした。現代は、コンピューターの漢字変換処理能力向上で、ローマ字入力した文章が自動的に漢字かな混じり文になります。 同音異義語の識別や、最適な漢字選択には、AI機能が必要となりますが、最新のパソコンでは殆どストレスなく、正しく変換されます。 このブログ「笑うオヒョウ」も思考の速度で入力しており、ストレスはありません。

(もっとも読み返しや推敲をしていないので、しばしば誤字・脱字や、乱文がありますが)。

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それに入力した日本語文を、必要ならローマ字のまま表記してもよい訳で、山本有三や梅棹忠夫が考えた日本語のローマ字化はある意味、実現しました。徳岡孝夫氏の同僚が指摘した「手書きである限り、遅い文章作成速度が、日本のジャーナリズムのハンデになり、欧米に追いつけない」という問題も解消されました。

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文科省は、ワープロの普及に伴い、使用可能な漢字の種類を増やし、日本の伝統文化は守られました。 万事うまく解決したようでメデタシ・メデタシですが、ちょっと待てよ・・・。 別の問題があります。

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どんなにワープロが普及しようが、ローマ字入力が普及しようが、解決できない、大きな問題があります。 それについては、次号で述べます。


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夏炉冬扇

お早うございます。

どんな問題なのか興味津々。

by 夏炉冬扇 (2010-07-13 05:39) 

笑うオヒョウ

夏炉冬扇様 コメントありがとうございます。

日本語表記をローマ字化しても、所詮日本語ですから、日本語と外国語(特に英語)の間の壁は残ります。医療の世界で専門的な仕事をする人達でさえ、言葉の壁に悩まされ、海外との人材交流が妨げられている事を、私は問題だと思います。 それについて管見を その2で 書きました。ご一読いただければ、ありがたいと存じます。

またのコメントをお待ちします。
by 笑うオヒョウ (2010-07-13 12:04) 

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