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【 問診のAI化 】 [医学]

【 問診のAI化 】

 

昨今は、3Kだけでなく、あらゆる職場で人手不足が深刻です。医療現場もそのようで、マンパワー不足がサービスの低下につながらないように、各種の努力がなされています。

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特に重要なのは、医療現場の核となる医師の業務の負担をどうやって分担・軽減するか・・・です。医師の業務には、医師しかできない専門的な作業が多くありますが、それ以外に、非専門的な作業もあります。それらの医師以外でもできる事務的な作業は医師以外の人に委ねるべきです。その方が業務を効率化でき、コストも下がります。

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実際、下記の記事によれば、多くの医師はかなりの時間を電子カルテなどの書類作成に追われているようです。でも患者として傍で見ていて、キーボードの入力作業が速い医師はあまりいません。(まあ、プロのタイピストみたいな訳にはいきませんが)。

そこで、その書類作成業務をロボットやAIに委ね、極力簡略化する研究が進んでいます。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24712960V11C17A2TJE000/

具体的には、診察を受ける前の事前アンケートの結果をあらかじめ電子カルテに記入するという作業が自動化されつつあります。ポイントは患者へのQ&Aで使われる平易な一般的表現を医学専門用語に変換することと、AIを駆使して予想される疾病を推測することです。

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普段、クリニックの待合室で書かされるアンケートには、薬のアレルギーは無いか?とか既往症は?といった基礎的な設問が並びますが、AIの事前問診では、それに加えて、従来、医師が尋ねていた専門的な項目も質問し、それが電子カルテに自動的に記載されるようです(推測です)。

全ての人に同じ質問をするのではなく、設問の答えに応じて次の質問の内容を変え、疑われる疾病を絞り込んでいき、医師が診察する前に、予想される病名を予測しておく・・というものです。

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しかし、素人の私は、そんなことできる訳ないさ・・と思います。

例えば、患者が右下腹部の痛みを訴え、熱が38℃だ・・というだけで、病名が絞り込めるものなのか? 病気の診断は、膨大で多様な選択肢の中から、多くの情報を元に、病名を絞り込むことから始まります。その多くの情報の中には、かなりファジイな(つまりあいまい表現の)情報もあります。この判断ロジックをプログラム化するのは、プログラム言語のLISPでもProLogでも、困難な作業です。AIといっても・・果たしてどこまでの知能があるのか?

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日本語の痛みの表現では、ズキズキ痛む場合、シクシク痛む場合、チクチク痛む場合で、患者が訴えたい症状は違うのですが、最新のAIはそれが区別できるのでしょうか?

患者は、自分なりに、なるべく詳しく、正確に症状を説明して、正しい診断結果を得たいと思っています。だから、ファジイな擬態語を使った表現であっても、なるべく医師には正確に伝えたい・・・と必死に考えます。その際、相手が、自ら歯痛や頭痛を経験したことがある、人間の医者ならば、分かってくれるはず・・という期待を持ちます。

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ところが、相手がロボットではそうはいきません。さて、患者はどこまでロボットの問診を信頼し、期待するのでしょうか? まあそう言っても、従来、人間の医師が行っていた知的な判断業務の一部を機械(AI)が代替できるのなら、これは画期的なことで、評価されるべきことです。

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しかし、待合室に「客寄せパンダ」のロボットであるPepperを置くのは茶番というか、おふざけでしかありません。人型ロボットというよりスピーカー付きの人形であるPepperは、最初は携帯電話のショップに置かれ、客に話題を提供していましたが、最近は方々の薬局でも見かけるようになりました。しかし、薬剤師の処方を代行する訳でも、会計業務をしてお釣りを出す訳でもなく、ただ挨拶して会釈するだけです。つまり「玩具」です。そして個人経営のクリニックの待合室にもこの玩具は置かれています。

そして、上記のAIの問診に使用されるというのです。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/012800017/030800007/?ST=health

https://robotstart.info/2016/09/14/shanti-aiai.html

果たして、AIの問診に、お人形を遣う必要があるのでしょうか?

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そのPepperが富山大学の大学病院の眼科に置かれ、医療スタッフの肩代わりをしているというのです。具体的にはインフォームドコンセントを担当しているというのです。

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1606/20/news014.html

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いったい富山大学(旧富山医科薬科大学)の眼科では、どういう使い方をしているのか?

TVニュースで見た限りでは、白内障の手術を受ける患者に、白内障がどういう病気で手術の内容がどういうものかを説明しています。でも万人向けの家庭の医学(赤い表紙のベストセラー)に書いてある以上の説明はしないようです。(なんだ、やっぱりただのスピーカー付きの人形か)。

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本来は、患者ひとりひとりで異なる病状や、条件に応じて、ひとりずつ異なる説明となり、患者の理解度や心情に応じて、説明の仕方も変える必要がありますが、pepperの説明は通り一遍です。

本当にこの愛玩ロボットは医療現場の人手不足解消に役立っているのか?ただの話題作りではないのか?

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医療現場でのロボット活用やAI活用は、時代の流れであり、重要なことです。そしてそこで求められるのは、人間の医師にも難しい高度な業務を代行したりサポートする機能です。具体的には手術を行うロボットのダビンチや、最新の医学情報に基づいて推論を行う診断サポートAIです。患者の玩具ではありません。

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人間である私が将来眼科のお世話になる時が来ても、インターフェースがロボットだったらいやでしょうね。

「アナタノ疾病ハ老人性ノ白内障デス。手術ヲオ勧メシマス」なんてロボットに言われても反発したくなります。

「目の無いロボットのお前に白内障の何が分かるか? 老人性だと? ロボットのお前に年をとるという意味が分かるのか?分かってから言え」と言いたくなります。

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更に言えば、人間である患者も医師も看護師も、医療行為の先には生死の問題を、やがて来る死を見据えて、考え、行動しています。人間の死を理解しないロボットには永久に不可解な事柄です。

眼科はともかく、生死の問題をあずかる医療現場にあるPepperに訊いてみたい。

「お前に、人が年老いていくことや、やがて訪れる死の意味が分かるのかい?」

多分Pepper

「それは電池切れとどう違うのですか?」と答えるでしょう。


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【 台車亀裂事故 その4 】 [鉄道]

【 台車亀裂事故 その4 】

 

マスコミでも報道されていますが、今回事故を起こした新幹線の台車は川崎重工製だそうです。ちなみに毎日新聞が取り上げて比較している、昨年の東武鉄道の台車亀裂・脱線事故の台車は旧住友金属製でした。・・ということは10年以上前の製品です。

https://mainichi.jp/articles/20171213/k00/00e/040/261000c

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川崎重工製と旧住友金属製ということでメーカーが違いますが、それ以上に大きな違いがあります。今回の新幹線の台車は非溶接部の亀裂、東武鉄道の台車は溶接部の亀裂でした。

現象とし全く異なる案件であり、それを同一に扱うあたり、やはり毎日新聞らしい・・と思います。

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かなり昔になりますが、中目黒で地下鉄日比谷線の脱線事故があった際、旧住友金属製の台車にひび割れがあったと大騒ぎした新聞がありましたが、これも全くピントがずれていました。脱線事故の原因は、線路の曲率が急激に変化する箇所で速度を出したことです。台車のひび割れは、それはそれで問題ですが、事故の原因とは無関係です。

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マスコミ批判ばかりしても無駄です。ここは真面目に原因追及のアプローチを考えてみます。コメントをいただいた霍去病様も指摘されていますが、工業製品で何等かの問題が生じた場合、メーカー、素材メーカー、設計者の3段階でそれぞれ問題がないかを確認する必要があります。これは原因がどこにあるかで対処方法が全く異なるからです。

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もしメーカーに原因があるのなら、そのメーカーの製品だけを使用中止にして対処します。タカタのエアバッグに欠陥があれば、他の会社のエアバッグに切り替えて対応します。

実は鉄道車両も同様で、複数購買で安全を確保するのです。もし川崎重工の電車で問題がおこれば、日立や日本車両の車両に切り替えます。川崎重工の台車に問題があれば、住友金属(今は新日鉄住金)製に切り替えます。実際にはそう簡単ではありませんが。

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しかし、もし欠陥が車輪だったら・・・・日本では鉄道車輪を作るメーカーは少なく、旧住友金属の独占です。その場合は大問題となります。実は20年以上前になりますが、新幹線用車輪で品質問題が出かかったことがあります。幸いにして大きな問題にはなりませんでしたが、大阪製鋼所の幹部がその問題で自殺しています。本ブログでは詳細を言えませんが、和歌山製鉄所から供給する素材に問題があったのです。

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霍去病様がご指摘されたように、問題の部品の素材はどこのメーカーが製造したのか?というのは重要なポイントです。以前のブログで触れましたが、ISO9000の考え方のポイントはまさにそこにあります。

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しかし、素材やメーカーに原因があったとして問題を限定できればいいのですが、そうでないのが一般的です。設計自体に問題がある場合が多いのです。

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設計にゆとりがあれば、素材や加工・組立方法に何等かの瑕疵があっても、カバーできます。昔の機械は安全係数(安全率)を大きく取り、信頼性の乏しい材料や加工方法をカバーしてきました。重厚長大を可とする、名前を付ければ蒸気機関車(SL)型の設計です。 戦前に設計されたSL100年経っても問題なく走ります。 

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しかし、最近の設計はそうではありません。一種の限界設計で、安全係数を下げてでも、軽薄短小を狙い、乗り物であれはそれで高速化や省エネ化を狙うのです。名前を付ければ飛行機型の設計です。

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高速鉄道の歴史とは、SL型の設計と飛行機型の設計の葛藤の歴史でもあります。日本の鉄道では、何時頃から、SL型と飛行機型がぶつかったのか? 住友金属の顧問として来られた旧国鉄の島技師長の話では、リニアモーターカーの研究が影響したようです。

 

それについては次号で申し上げます。


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【 台車亀裂事故 その3 】 [鉄道]

【 台車亀裂事故 その3 】

 

奇妙なことですが、毎日新聞に、今回の事故車両がN700系であったとする記事がでています。

https://mainichi.jp/articles/20171229/k00/00m/040/152000c

だから台車の疵を発見できなかったというのですが、下記の写真を見ればわかる通り、この車両はN700A系です。ただし、Aの字は小さく書いてありますが・・。

http://toyokeizai.net/articles/-/202478

 

前報に書いた通り、この車両は、N700系として製造され、その後N700A系に改造されています。

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そこで私は錯覚したのですが、「N700A系なら異常振動検知装置があったはず・・・。それなのになぜ運転席には警報が表示されなかったのか?」という方向に考えを進めました。

 

しかし、fff様から貴重な情報をいただきました。改造型のN700A系には「異常振動検知装置は無い」という情報です。そこで、毎日新聞の記事についてのコメントを修正し、旧型であったがゆえに異常振動を検知しなかった」という説を受け入れたいと思います。

 

それなら本物のN700A系(Aの字が大きい方)なら、問題は無かったのか?といえばそうでもなさそうです。

 

より確実な状態監視と故障予防を実施するには、N700S系の登場を待たねばならないと思います。

 

以下 次号


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【 台車亀裂事故 その2 】 [鉄道]

【 台車亀裂事故 その2 】

 

今回問題を起こした車両はN700A系です。 よく見ると最後のAは小さく書かれています。 これは最初AなしのN700系で製造されたものが、A付に改造された・・という意味で、車両自体はかなり古いものだと分かります。 ちなみに、この車両は、もともとJR西日本管轄のN2編成だったものが、A型への改造を機に、JR東海に移管されています。

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ところで、この最後のAはアドバンスドの意味で、N700A系はN700系の進化形なのですが、その改良点には、台車の異常振動検知装置も含まれます。

Aの字が小さくても大きくても、N700A系では、台車で異常振動が検知されたら運転席に表示される仕組みになっています。

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しかし、今回はそれが適切に運用されたとは思えません。 異常に気付いたのは乗客であり、客室乗務員です。つまり運転士は異常を検知できなかったのです。

ここに問題があります。

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東海道山陽新幹線の「のぞみ」は16両編成で、台車の数は32個、車軸の本数は64本です。それらの全ての振動をモニターし、運転席に表示しても、これを一人の運転士で常時監視して把握することは至難です。

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そこで、ある閾値を設けて、異常値と判断した時だけ警報を出す訳ですが、実際には台車の枠がちぎれそうな状態になっても、警報を出しませんでした。

本来、この種の警報発信は単純な閾値による判断ではなく、AIが判断して行うべきです。 ある情報から、対象が正常か異常かを判断するというのは、AIが得意とするアルゴリズムなのです。無論AIが判断するには、データの蓄積が必要で、今、鋭意データを蓄積中というところです。

AIの判断を信用できるか?という点がひっかかりますが、これまでの人間の経験と勘に頼る判断よりは確実でしょう。

情報不足や知識不足のまま、重大で難しい判断を迫られる現場のオペレーターの負担もこれで軽くできます。

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振動検知だけではありません。東海道新幹線の線路には温度計があり、走行する車両の温度を測定しています。台車に異常が生じれば、多くの場合、摩擦熱などで、高温になる部位が発生します。それをモニターして異常を検知するのです。JR東海が開発しています。

例えば、以下の鉄道新聞にこの温度検知装置の記事が記載されています。

http://tetsudo-shimbun.com/headline/entry-380.html

その温度データは分析センターにリアルタイムで送られ、異常の有無を把握できます。

今回の事故では温度データがどうだったのか、まだ公表されていません。JRで調査中ということでしょうか?

https://newswitch.jp/p/853

そして、残念ながら、それらの技術は山陽新幹線にはありません。

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ではそれらの情報を統合してどう処理するのか?ということですが、これが重要です。

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JRが開発を進めている新しい保全管理システムは、従来のものと発想が違います。

専門家が状態監視保全(CBM)と呼ぶシステムで、故障が発生してから修理する事後保全(BDM)、予防的に一定時間毎に交換・整備する時間計画保全(TBM)に代わる、新しい保全整備の概念です。

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昔は、故障が起きてから修理や部品交換をしていました。しかし、それではトラブルを防止できません。

その後の計画保全の考え方は、劣化していようがいまいが、交換時期が来たら、一斉に交換する考え方です。私はこれを「体育館の電球交換」と呼んでいます。

体育館の天井は高く、電球や蛍光灯が切れてからその都度交換するというのでは大変です。だから、まだ寿命がきていなくても一斉に交換するのです。

しかし、それでも特に寿命の短い電球や蛍光管が混じっていたら球切れトラブルを防止できません。そこで、一個一個の電球や蛍光管を観察して、暗くなってきていないか、あるいは明滅が始まっていないかを観察して、寿命到来を判断して直前に交換する方式が検討されました。 それが状態監視保全(CBM)です。

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私がこれを知ったのは、JRの最新鋭の電気機関車EH800型の紹介記事です。

EH800型電気機関車にはCBMの概念に基づいたモニター装置があります。

www.toshiba.co.jp/tech/review/2014/09/69_09pdf/f02.pdf

http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0001/2013/0001003755.pdf

EH800型電気機関車は、本州と北海道で使われる最新鋭の機関車で、1両(この機関車は2つの車体を連結して1両としています)に4つの台車があり、それぞれの状態(振動、温度等)をモニターしています。 この技術は、JR総研や東芝が開発しています。

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私の個人的な意見ですが、本当はそれでもまだ不足で、亀裂が進展する際に放出されるAE(アコースティックエミッション)を使用する方法を提案します。高速走行する新幹線台車は大音量の騒音と激しい振動の環境下にありますが、マイクロホンで微弱な超音波を拾うことは可能です。得られた音声信号をフーリエ解析し、ノイズの森の中から、微弱信号を抽出する訳ですが、多くのデータがあれば、それらを重ね合わせ、その中から探し出すことが可能です。

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CBMのシステムを搭載したEH800型電気機関車は在来線用の機関車ですが、新幹線にも近く応用されます。

それが、N700S系新幹線で、来年登場します。

http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000030982.pdf

N700S系はSiCを採用した新しい素子ばかりが話題になりますが、CBMに基づいた保全監視システムも強化・近代化されています。 注目すべき点は、もはやそれらの情報を集めて判断するのは列車のコンピューターではなく、遠くの指令所だということです。

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コンピューターの世界では当たり前ですが、データのネットワーク化、そして集中する大量のデータの高速処理がポイントです。

いずれにしても、走行中の新幹線の台車をリアルタイムで診断し、不具合を探索する技術はほぼ完成し、実用化の直前だったのです。その意味では、実用化直前に重大インシデントが発生してしまい、技術者達はさぞかし残念だろうと思います。

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それにしても、新技術の多くは、JR東海、JR総研、東芝、JR東日本などで開発されています。他社に比べて大事故を多く経験しているJR西日本はどうしたのでしょうか? やはりマスコミに安全意識や危機感が足りないと指弾されても仕方ないということなのでしょうか?ひょっとしてJR東海とJR西日本は仲が悪いのでしょうか?

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JRが発足してもう30年。そろそろ分割民営化の功罪について総括すべき時が来ましたが、ひょっとして最大の問題は、台車の亀裂ではなく、ひそかに進行している、JR各社間の亀裂なのかも知れません。こちらは、ちょっと電車を停めて覗いたぐらいでは深さが分かりません。

 

ではなぜ、台車に亀裂が発生したのか? 詳細な調査結果を見なければ、確実なことは言えませんが、何時か稿を改めて、私の理解を述べたいと思います。


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【 台車亀裂事故 その1 】 [鉄道]

【 台車亀裂事故 その1 】

 

いささか旧聞ですが、博多発東京行きの新幹線のぞみの台車に亀裂が発生し大問題になっています。 各社の報道は、事実の列挙以外に、主観的な記述が含まれ、どこまでが客観的事実なのかよくわからない部分があります。

その中で、最も正確で客観的な報道をしたのは、NHKの中村幸司解説委員だと思います。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/286806.html

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今回の亀裂発生については技術的な調査が行われ、原因と対策は、その結果がでてからの判断となりますが、マスコミでは、その前にJR西日本の体質を問題視する論調が目立ちます。

朝日新聞は、例によってJR西日本が他のJR各社と異なり、安全を軽視する風土があると指摘します。

https://www.asahi.com/articles/ASKDW00Z4KDHPTIL02D.html?iref=comtop_list_nat_n03

他社にも同じ論調の記事があります。

http://www.worldtimes.co.jp/opnion/editorial/83222.html

一方で、JR各社で大きな違いは無いとする東洋経済の指摘もあります。

http://toyokeizai.net/articles/-/202478

これはこれで、亀裂の発生原因や、発見できなかった問題とは別に、議論すべき問題点です。

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すなわち、JR西日本が安全よりも定時運行を優先させる体質だったために、小倉駅で確認された異常が、名古屋で停車して検査されるまで3時間も放置されたのだ・・という考え方です。一方、JR東海は名古屋でこの列車を停めて、危機一髪で大事故を防いでいます。確かに西と東、両社のコントラストが目立ちます。

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JR西日本は岡山駅から乗車した技師が「止めて床下を検査するべきだ」と判断したにも関わらず、そのまま走り続け、新大阪駅でのJR東海への引継ぎでも「走行する上で支障なし」と連絡しています。マスコミ各社の論調は、現場の判断で列車を停めて検査すべきだったのに、それをしなかったと非難しているのです。さらに言えば、乗車した技師と列車指令の間で、列車を止める判断を押し付け合っていたようで、これも問題視されています。

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確かにその通りですが、現実問題として、現場のスタッフにその判断をしろというのは酷です。異音や異臭、異常振動というあいまいなサインを乗務員が感知したら電車を停めて検査せよという行動規範を仮に作成しても、実際に新幹線を停めるとなると、大変な責任を負うことになります。

新幹線を遅らせた場合の損害は莫大ですから、もし異常が見つからなかった場合、いくら責任は問わない・・といってもそうはいきません。

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しかも、今回、異音や異臭を確認したのは、客室乗務員(オヒョウは車掌と混同しておりましたが、そうではありませんでした)ですから技術的な専門知識はありません。岡山から技師が乗車しましたが、彼にも走行中の音や臭いだけでは、何が起こっているかを判断できないでしょう。最終的に列車を停める判断をするのは、乗車していない列車指令ですが、彼も電話で「異音や異臭がする」という報告を受けても、それがどの程度深刻なものか分かりません。列車の緊急停止を判断するのに十分な情報は得られません。

ちょうど、医師が患者から電話で「腹痛がする」という症状を聞いて、それだけで虫垂炎か否かを判断するようなもので無理な話です。

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だから、JR西日本に安全意識が欠如し、JR東海が優れている・・と決めつけては、JR西日本がかわいそうです。

「亀裂があるにもかかわらず、定時運行を守ろうとして無理をした。福知山線の事故から何も学んでいない」とJR西日本を非難するのも、ちょっと的外れです。彼らだって亀裂があるとは思わなかったから停めなかっただけで、大きな亀裂の存在を知っていたらすぐに停車させたはずです。

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そもそも論でいえば、異音や振動、異臭といった異常が発生する前に、問題を把握できなければいけませんし、音、臭いといった感覚的であいまいな情報でなく、定量的で客観的な情報を常時モニターしておく必要があります。乗務員に頼るのではなく、数値データを出し、列車指令がなんとなくファジィに判断するのではなく、AIの診断機能によって、列車の運行継続可否を決めるシステムが必要なのです。

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そんな事が可能なのか?という疑問も湧きますが、実は既に一部は実用化されています。東海道新幹線では新しい保守・点検のシステムが実用化されつつあるのです。

その矢先に、「重大インシデント」が発生した訳で、開発した技術者達には忸怩たる思いがあるはずです。

 

次号では、その辺りを紹介いたします。


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【 相撲協会とマイノリティ その2 】 [雑学]

【 相撲協会とマイノリティ その2 】

 

モンゴル人力士会ができたのは一種の必然です。

言葉も通じない異国に来た少年が、集団の中の最下位の地位でこき使われて、くじけずに頑張るには、仲間同士の励ましあいが大きな意味を持ちます。モンゴル人力士の草分けである旭鷲山や朝青龍の時代から、モンゴル出身者同士が助け合い、励ましあうシステムができ、上位に出世する力士が多いのではないか?と私は考えます。

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更に言えば、モンゴル人力士達は、かつてマイノリティの弱い集団だったのです。実はトンガ人の相撲取り(取的でしたが)たちも同じようにグループを作っていました。なぜかハワイ系や東欧系は無いようです。群れる力士と群れない力士・・、群れる存在は弱いのか? ここから話は脱線します。

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昔のブログに書いたことの重複になりますが、多人種、多民族が暮らす社会では、弱者は集団を作って暮らします。人種のルツボだとかサラダボールと言われる米国ではそれを実感できます。

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シカゴの北西部からインターステーツ94号で市内に入っていくと、屋根にポーランドの国旗を描いた建物が目に入ります。「あれは何か?」と尋ねると、「ポーランド人街だよ」と当たり前の答えです。「どうして、ポーランド人街があるのさ?」と訊くと、「ポーランド人は白人だけれど、最後に新大陸に渡ってきた人たちで、いわば弱者なのさ。そして弱い人たちは群れて暮らすのさ」。

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ポーランドからの移民は、第一次、第二次の大戦の戦火を逃れてきた人、あるいはナチスの弾圧を逃れてきた人達で、難民に近い形でアメリカ大陸にやってきました。映画「ソフィーの選択」や「カサブランカ」を見ればわかります。WASPと呼ばれる人たちに比べれば弱者なのです。

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「日系人は群れないのかい?」と訊くと、「初期の頃に移民してきた人たちは、ハワイやカリフォルニアに集落を作った。ロサンゼルスにあるリトルトーキョーはその名残だけれど、戦後に日本人街は無くなった。今は別のアジア系の人が主に住んでいて、日系人はほとんどいない。日系人は強制収容所に入れられて財産を没収されたこともあるけれど、2世、3世と代替わりする度に地位が上がって強い存在になったから、日本人街ではなく、お金持ちの白人が住むエリアに混じって暮らすのさ」

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確かに、一世の時代は、ストロベリーファーマーと呼ばれた農夫、あるいはガーデナー、鉄道工事の工夫、洗濯屋などをしていましたが、無理してでも子供達を上級学校に進学させ、今の日系人は、弁護士、医師、教師などの知識階級として君臨しています。

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今のロサンゼルスでコミュニティが見られるのは、ベトナム戦争後にたくさん入ってきた韓国人のコリアンタウンや、最初にやってきたアジア系である中国人のチャイナタウンです。弱い立場だけれど、数が多すぎてマイノリティとは言えないヒスパニックや黒人はカリフォルニア全土を覆い始めていて、特定のコロニーとは言いにくいのです。

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話を相撲の世界に戻します。

弱者の集団であったモンゴル力士会は、ある日、大きな変貌を遂げます。横綱をはじめ、番付上位の優秀な力士を輩出し、誰もが一目置くどころか羨望のまなざしで見る強者の集団になったのです。スポーツの世界の素晴らしいところは、家柄・門閥・出自と関係なく実力さえあれば認められることです。

しかし、弱者の集団が強者の集団になった時に、大きな摩擦が生じます。ちょうど氷山がひっくり返る時に巨大な波が発生するように、モンゴル力士達は問題を起こしました。

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それまで、日本の価値観、相撲道の美学を唯々諾々と聞いていた力士達は、自分たちの考えで行動します。なぜ選手である力士は、行司軍配に対して物言いができないのか? なぜ、優勝インタビューで自分の意見を言えないのか?

なぜ、現役時代に自分より弱かった親方の言うことに従わなくてはならないのか?

なぜ土俵の外では窮屈な紳士でなくてはならないのか?

それに疑問を感じ、そして隠れていたモンゴル流が現れると、摩擦になるのです。

白鵬の一連の不規則発言の背景にはそれがあると私は思います。

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モンゴルに限らず、あれだけ日本に溶け込んでいた外国人力士には、スキャンダルに巻き込まれ、有終の美を飾れなかった人が多くいます。 相撲は喧嘩だ・・と放言した小錦。暴力事件で角界を去った朝青龍。大横綱になれたのに、挫折してプロレス界へ逃げた曙。

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やはり、相撲協会は外国人力士の育て方を間違っているのではないか? 無理やり日本人の価値観を押し付け、髷を結わせて着物を着せ、日本語を学ばせましたが、バックボーンは日本人にならないままの力士達。彼らが角界の頂点に至った時、隠れていた何かが現れるのではないか? マイノリティで弱い集団であった外国人力士をどう育てればよいのか?

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しかし、マイノリティの存在は、マジョリティの問題を映し出す鏡にもなります。暴力事件の根底には、相撲協会の、もっと言えば日本のスポーツ界、あるいは日本の社会全体に横溢する、弱いものいじめや、しごき、理不尽な上下関係などがあります。逆説的ですが、モンゴル人力士の暴力は、日本のその悪しき習慣を受け入れた結果なのかも知れません。

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かつて角界では、ムリヘンに拳骨と書いて兄弟子と読むのだ・・という乱暴な表現がありました。これからは、ムリヘンにビール瓶と書いて親方と読み、ムリヘンにリモコンと書いて横綱と読むことになります。

モンゴルとの外交問題になりかねない今回の事件について、日本相撲協会はモンゴルに説明する責任があります。 その背景にある角界のこの「空気」も理解してもらう必要があるのですが、しかし、これをモンゴルの大統領に説明することは無理でしょう。なぜならモンゴルには漢字が無いからです。

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それにしても、相撲協会は世界中から人材を集めるのではなく、なぜか時代によって力士を募る国を変えていきます。ちょうど日本企業が安価な労働力を求めて工場を移転させるように、ある時期、ある国から集中してスカウトするのです。

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これも外国人力士の問題を大きくし、複雑化する理由です。 もしオリンピックのように世界中の様々な国から力士が集まれば、問題は希薄化すると私は思います。

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それにしても、理解できないことがあります。日本人と外観が似ている中国や韓国からの力士が少ないのはどういうことでしょうか?

あの2つの国ほど、ムリヘンに拳骨という漢字が似合う国はないのですが・・。


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【 相撲協会とマイノリティ その1 】 [雑学]

【 相撲協会とマイノリティ その1 】

 

先日の、日馬富士の貴ノ岩への傷害事件は、刑事罰の対象になる重大な犯罪です。酔って相手を殴ることは、珍しくはないかも知れません。でも、同じように殴っても、行為者は横綱です。相手も関取だったから怪我で済みましたが、一般の人なら命にかかわる暴行で、殺人未遂と言っても大げさではありません。一部に貴ノ岩や貴乃花親方の非をなじる声もありますが、これは倒錯した考えです。可愛い弟子が半殺しの目にあったのですから、警察に届けるのは当たり前です。 そして残念なことに事なかれ主義の相撲協会は信用できる相談相手ではありません。話が飛躍しますが、いじめで子供が自殺した時、親は学校を信用しません。事なかれ主義だからです。相撲協会も同じです。

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しかし、今回の事件を、酒が入ると粗暴になる日馬富士個人の問題に帰着させるのも誤りです。モンゴル人力士会の存在、暴力に寛容だった相撲協会の体質など、白鵬が言及した「膿」はいくつもあるのです。今回のブログではその根本の問題を考えてみます。

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話は変わりますが、日本発祥のスポーツである柔道は、世界に広まり、外国人の選手が増え、国際化する過程で、いろいろな変更があり、いつの間にかオリジナルの日本柔道とはかなり異なった存在になりました。細かい体重別のクラス分けが進み、得点も細分化されて合計点で競うようになる一方で、日本の武道が持つ美学や精神性が損なわれていきました。それを苦々しく思っても「ジュードーは日本だけのものではない」と一蹴されればそれまでです。もっとも、得点については見直しが進み、昔の日本の柔道に戻りつつあるようですが・・・。

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柔道とは全く逆の方向で国際化を進めたのは大相撲です。あくまでも日本国内での興行にとどめ、日本古来の様式を厳格に守る一方で、人材は広く海外に求め、外国人力士がハンディキャップ無しに日本で競技できるようにしました。それは一応成功を収めているようですが・・。

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外国人選手を受け入れているスポーツは他にもたくさんありますが、大相撲は他と違います。例えばプロ野球には助っ人外人がたくさんいますが、彼らはいつまでも助っ人であり、アウトサイダーです。インタビューには通訳が必要であり、日本語をマスターする選手は少数です。サッカー選手も同じことです。

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一方、大イチョウを結う外国人の関取は、みな上手に日本語を話し、日本語を読み書きします。天皇陛下からメッセージを受けて、感激の涙を流す横綱もいて、精神面ではほとんど日本人みたいな力士ばかりです。大相撲に限って言えば、外国人選手は日本人に同化しているかのように見えます。日本人女性と結婚し、引退後には日本国籍を取得し年寄株を手にする力士が多くいます。それが、日本相撲協会流の国際化です。しかし、本当にそうなのか?

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しかし、一見成功しているように見えますが、この相撲協会の外国人力士の育て方には、疑問符が付きます。以下に管見を述べます。

外国人力士の草分けは、ハワイ出身のジェシー・クアウルハ、帰化後は渡辺大五郎となった高見山です。彼の成功で外国人力士の採用と育成が大きく進みました。ハワイとは民族が異なりますが、同じポリネシアということで、トンガから何人かの青少年を力士として育成したことがあります。トンガ国王のお墨付きを得ておこなった育成プログラムでしたが、うまくいきませんでした。原因は日本の冬の寒さがこたえた・・・ということもあるでしょうが、絶対的な上下関係が存在し、理不尽な「可愛がり」が存在する相撲社会が苦痛だったのでしょう。彼らは日本語をマスターする前に帰国しました。

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その後は再びハワイアンの小錦、曙が活躍しました(高見山とは民族が違いますが)。そしてその後は、モンゴル出身の力士が活躍する時代になりました。ソ連崩壊後の旧東ヨーロッパからも多くの力士が来日して頑張っていますが、やはり頂点に辿り着くのはモンゴル人力士です。これはなぜか?

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モンゴルでは伝統的なモンゴル相撲が盛んで日本の相撲になじみがあること。

モンゴロイドの中でも特に日本人とモンゴル人は似ていて、日本人社会の中で心理的抵抗が少ないこと・・などが挙げられますが、どれも説得力に欠けます。

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私はモンゴル人力士会という一種の互助会が関係しているのでは?・・と思います。

 

以下、次号


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